2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『間宮兄弟』江國香織

読みました。これを読んで確信を持ちましたよ、僕は。江國香織は底意地が悪い。間宮兄弟は都内(たぶん)のマンションにふたりで住んでる30代のモテない兄弟。まわりの人は恋愛とか関心なさそう、って思ってるけどそんなことない。ふたりとも人を好きになる…

『シフト―世界はクリアを待っている―』うえお久光

読みました。えーと、これは1巻ですよね?続きがあるんですよね?と言いたいが、この形態で2巻を出すのはキツそうだな……。電撃でいいんで、この世界観でまた書いてください。というか悪魔のミカタも書いてください。とにかくほんとにゲームにできそうな世界…

『ロマンティスト狂い咲き』小川勝己

読みました。期待しすぎたためにちょっと肩透かしをくらった感じですね。ダメ人間とダメ人間がもつれあってぐちゃぐちゃになりっぱなし泥沼に沈みっぱなしで、期待していた豪快な背負い投げがなかったのがなー……。しかしこの救いのなさはいっそすがすがしい…

『ニート』絲山秋子

読みました。「へたれ」という短編が素晴らしい。遠距離恋愛をしている恋人のところに行くために新幹線に乗る主人公を描いた、ただそれだけの話で、ただそれだけの話が何でこんなに切ないのかよくわからなくて、よくわからないけど素晴らしいです。ニート作…

11月に読んだ本。

『ニート』絲山秋子 『ロマンティスト狂い咲き』小川勝己 『シフト―世界はクリアを待っている―』うえお久光 『間宮兄弟』江國香織 『誰のための綾織』飛鳥部勝則 『博士の愛した数式』小川洋子 『旧宮殿にて』三雲岳斗 『図書館の神様』瀬尾まいこ 『驚異の…

『誰のための綾織』飛鳥部勝則

読みました。ミステリ読みは、「推理小説に禁じ手などあるのだろうか。」で始まるプロローグに、否応なしにに期待を抱かされるわけですよ、地雷の予感とともに。だってそんなでかいこと言っちゃって、どうせトンデモかメタに逃げるんでしょ、っていう。結局…

『博士の愛した数式』小川洋子

読みました。あー、これは売れるのわかる、納得。数学の美しさと、心を通い合わせることの素晴らしさを、押し付けがましくなく語っていて好感度高し。しかし、記憶が80分しか持たない云々と言われるとあれとかそれとかを思い出しますが、これはただただ美し…

『図書館の神様』瀬尾まいこ

読みました。良くも悪くも「お話」。僕自身にとっては、こういうのをいまさら読んでもなあ、という感じでした。入り口としてはいいかも、と思いますけどね。図書館の神様作者: 瀬尾まいこ出版社/メーカー: マガジンハウス発売日: 2003/12/18メディア: 単行本…

『旧宮殿にて』三雲岳斗

読みました。15世紀末のミラノを舞台にレオナルド・ダ・ヴィンチが探偵役をつとめる短編集。手堅くおもしろかったんですが、全部消失トリックを扱った作品であるせいかメリハリに欠けていて、読後感がぼんやりしてます。あと時々「今で言うところの〜である…

『驚異の百科事典男』A・J・ジェイコブズ

読みました。この邦題はどうなのかな。「The Know-It-All」という原題のほうが内容を想像しやすいかも。これを書いたA・J・ジェイコブズはエスクァイアの編集者。ポップ・カルチャーには精通してるけど、最近どうも頭が悪くなった気がしてならない。ブリタニ…

「ケルベロス行軍」平山瑞穂

白水Uブックス研究会による『戦争文学がこんなにわかっていいかしら。』にSpecial Trackとして載せられた未発表作品。主人公の葦原馨は『ラス・マンチャス通信』の「僕」が成長した姿でもある(ということは、完全にあの世界の「僕」と地続きであるというわ…

「うさぎ! 第一話」小沢健二

「大きなお金の塊」の中に棲む「灰色」と沼の原の人たちの戦いのお話のようですが、第一話は「灰色」に動かされる世界を書くところまでで終わっています。 灰色のつくりだす世界では、いつも、最初にすてきなイメージの品物が見せられて、気がつくと、巨大な…

『輝く断片』シオドア・スタージョン

読みました。奇想コレクションではスタージョンは2作目。『不思議のひと触れ』に続いて、このタイトルはいいなあと思います。内容は、スタージョンのミステリ寄りの非SF作品を収めた短編集。自分にとってかけがえのない何かを失うことの絶望感を描いた「ニュ…

『桜色ハミングディスタンス』桜坂洋・桜庭一樹

なんつーか、これを買いに来ていた人の客層がすべてを語っているような気がしますが……。えー、と、桜坂洋と桜庭一樹が文学フリマにおいて合作で出した同人誌です。ラノベ(解説本)ブームとか言ってるけど今まで大変だったんだよー売れないしさーでもこれか…

ヘリオテロリズム Vol.3

ヘリオテロリズムについては、このへん参照のこと。 読み切り短編小説から。 「ピギィ・オルタナティヴ2047[次々と豚]」素晴城路安 童貞膜!童貞膜! 何をどうしたらこれが出来上がるのかわかりませんがしかしおもしろい。 舞城っぽいとはさほど思わなくて、…

『小説の自由』保坂和志

読みました。小説について書かれた文章としか言いようがない新潮における連載を途中までまとめたもの。小説とは何かについて具体例をあげながらゆっくりと語っていくのですが、1冊読んでも何もわかった気がしません。あるいはこれ自体がある種の小説なのかも…

ほしい!

アップルのiMac G5欲しい!

『いさましいちびのトースター』トーマス・M・ディッシュ

読みました。夏の別荘に放置されたまま2年以上の月日を過ごした電化製品たちが、一念発起してご主人さまのいる都会まで旅をする話。短いながらもキャラがしっかりたっていて、ああこれは確かにアニメで見てみたいなあ、しかもストップモーションアニメで、と…

『空の中』有川浩

読みました。戦闘機乗りの話かと思ったら、UMAの話だったー。『海の底』と同じく、何にも考えずに一気読みできる良いエンターテイメント小説でした。フェイクかわいい。空の中作者: 有川浩出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2004/10/30メディア: 単…

『リンさんの小さな子』フィリップ・クローデル

読みました。東南アジアの村から難民としてフランスに来たリンさんと、妻を亡くしたばかりのバルクさんの交流が、簡潔な文章で静かにつづられていく作品。言葉も通じないまま心を通わせていくふたりの描写は大変に素晴らしく美しいのですが、途中から読むの…

『終わりのクロニクル6(下)』川上稔

読みました。とりあえず一言。 これはどこのジュブナイルポルノですか? 何か、あー、電撃文庫ってやっていいんだー*1、って。それはともかく上巻よりおもしろかったです。各G、各国UCATを集めての会議の場面だけでも十分におもしろいのに、それに続く決闘が…

『終わりのクロニクル6(上)』川上稔

読みました。エロい、むだに。なぜ半裸の挿絵が何枚もつくのですか。終わりのクロニクル (6上) (電撃文庫―AHEADシリーズ (1175))作者: 川上稔,さとやす出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2005/11/01メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 12回この商品…

『二人道成寺』近藤史恵

読みました。梨園を舞台に今泉文吾が謎を解くシリーズの……たぶん3作目。違うかな。シンプルな筋に歌舞伎の演目をうまくからめて、あっさりしつつも読ませる話に仕立ててます。 ミステリ・マスターズなので、巻末に著者インタビューがついているのですが、そ…

『容疑者Xの献身』東野圭吾

読みました。これは素晴らしいですね。探偵ガリレオシリーズ初の長編で、湯川と大学時代の同級生石神が対決するわけですが、湯川の苦悩がどうでもよく思えるほど、石神の非モテっぷりが痛ましい。ひとつめのトリックは序盤で、ふたつめのトリックには中盤で…

『ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い』西尾維新

読みました。うん、終わった。終わった終わった。何かこう、適当な感じになってしまうのは適当な感じで読んでいたからで、最後までこのシリーズの良い読者になれなかったことに対して多少は残念な気持ちもあります。意図的に選択されている過剰な文体がどう…

『四十日と四十夜のメルヘン』青木淳悟

読みました。表題作「四十日と四十夜のメルヘン」はおもしろかった。日記と現実と作中作が混ざり合ってぐるぐるする感じはかなり好み。この人が書いた長編を読んでみたい、と思わせるものがありました。「日本のトマス・ピンチョン」だそうですが、どうなん…

『ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ』高橋源一郎

読みました。まさにグレーテストヒッツというのがふさわしいボリューム。読むのに時間がかかりましたが、これは素晴らしい本です。あるいは、傑作。 タイトルがあらわしているように宮澤賢治の作品をリミックスしたような短編集。雑誌掲載時とは順序を入れ替…

『デウスの棄て児』嶽本野ばら

読みました。天草四郎を題材にした小説。これはだめですね。嶽本野ばらはロマンティックな/狂気の共依存関係を描く作家であり、この作品においては「デウス」という存在と天草四郎の関係がそれに当たるのでしょうが、実在しカリスマであった人物を選んだ時点…

『君が代は千代に八千代に』高橋源一郎

読みました。いいところもあるけどね、という感じ。密度が低いというか、適当に書いたっぽい。その適当さに慣れてくる後半の作品になると結構楽しめる。「素数」「ヨウコ」「愛と結婚の幻想」あたりは好き。あと「SF」。SFです。君が代は千代に八千代に (文…

『人獣細工』小林泰三

読みました。みっつ短編が入っていて、とりあえずどの話にもまったく怖さのツボを刺激されませんでした。それでいいのか。「人獣細工」は話がストレートすぎて文章がもたもたしているように感じられるし、「吸血狩り」は語り手の邪気のなさを強調しすぎてオ…