2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね』岡崎京子

読みました。何かが試されそうな気がして今まで手を出せなかったのですが、全然大丈夫だった。ふつうにおもしろい。漫画家岡崎京子の描くものより多少ファンタジック。ボリス・ヴィアンっぽすぎる気がしなくもないけどまあそれはね。ぼくたちは何だかすべて…

『よくわかる現代魔法』桜坂洋

読みました。魔法はコードであるという設定は良いなあ、と思ったんですが、キャラがきつい。特に主人公にイラつくことこの上なく、終盤読むのがつらかった。そういえば『スラムオンライン』に出てきた女の子もちょっとどうかと思ったな……。桜坂洋とはそーゆ…

『黄泉路の犬』近藤史恵

読みました。南方署強行犯係シリーズの2作目。動物を飼っている人には胸が痛くなるような話ですが、心を病んだ人間を嫌らしくなくかつ過剰な重苦しさ抜きで描けるのは近藤史恵のいいところです。黄泉路の犬 (トクマ・ノベルズ 南方署強行犯シリーズ)作者: 近…

『林真紅郎と五つの謎』乾くるみ

読みました。ごめんなさいつまらなかった。妻を亡くして大学を辞めた元法医学者という設定がいかされてない(たまに妻を思い出して切なくなったりする程度)なのはいただけない。脳内でシンクロしたときに解ける謎というのも、別にシンクロしなくてもいいじ…

『海の底』有川浩

読みました。予想外のおもしろさでした。『塩の街』がいまひとつ好きになれなかったので、どうかなあ、と思いながら読み始めましたが、子供たちが潜水艦に逃げ込むあたりでがっちり引き込まれてあとは一気読みでした。良い意味で何も考えずに読める小説。海…

『異形コレクション オバケヤシキ』

読みました。異形コレクション初めて読みました。ひとつのテーマで19人も書けばネタがかぶるのも必至、というわけで、これという作品がなかったかな。どれも悪くはないんですが。桜庭一樹は仕事しすぎですよね。オバケヤシキ―異形コレクション〈33〉 (光文社…

10月に読んだ本。

『異形コレクション オバケヤシキ』 『海の底』有川浩 『林真紅郎と五つの謎』乾くるみ 『黄泉路の犬』近藤史恵 『よくわかる現代魔法』桜坂洋 『ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね』岡崎京子 『生首に聞いてみろ』法月綸太郎 『腑抜けども、悲しみの愛…

『現代SF1500冊 回天編』大森望

ざーっと流し読み。すごい。労力が。SFへの道は長く険しい。 オレのSF魂が口をつぐむことを許さない。 この一言がめちゃくちゃツボに入って、思わず付箋を貼ってしまった。普段そんなことしないのに。オレの本格魂が口をつぐむことを許さない、とか、オレの…

『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』本谷有希子

読みました。うーん、これは……いまいち。文章が硬すぎてうまく入っていけなかった。タイトルはいいし、絵は浮かぶし、キャラもたってるし、ちょっともったいない。自分は絶対に女優になれると信じて若干いっちゃった行動をとる姉を漫画にして賞に応募する妹…

『生首に聞いてみろ』法月綸太郎

読みました。地味だなー。いや、地味というか、手堅いというか、堅実というか、華がないというか……。いまさら読んでいることからもわかるように別に僕は法月の新作を待っていなかった人なので、ミステリらしいミステリだなあとそれなりに満足したんですが、…

『マリア様がみてる 特別でないただの一日』今野緒雪

読みました。マリみて読むのめちゃくちゃ久しぶり。久しぶりに読んだら何か薄くてぬるい話であまり楽しめませんでした。マリア様がみてる 18 特別でないただの一日 (コバルト文庫)作者: 今野緒雪,ひびき玲音出版社/メーカー: 集英社発売日: 2004/10/01メディ…

『マリア様がみてる インライブラリー』今野緒雪

読みました。うん、何で楽しめないのか考えたらすぐわかった。聖さまが出てこないからですね。マリア様がみてる 19 イン ライブラリ (コバルト文庫)作者: 今野緒雪,ひびき玲音出版社/メーカー: 集英社発売日: 2004/12/25メディア: 文庫 クリック: 12回この商…

『東京奇譚集』村上春樹

読みました。「どこであれそれが見つかりそうな場所で」における階段や「品川猿」における名札と猿なんかはいかにも村上春樹的で、それはそれで好きなんだけど、もうちょっと、この先が読みたいのに、という物足りなさがあるのも事実。 ところで僕はミスドの…

『海を見る人』小林泰三

読みました。ハードSFという言葉に、全然意味がわからなかったらどうしよう、という不安を抑えきれずにいたのですが、杞憂でした、ほとんど。いや、「時計の中のレンズ」は理解できませんでしたよ。あ、「母と子と渦を旋る冒険」もよくわかんなかった……。で…

『赤ちゃんがいっぱい』青井夏海

読みました。しまった2巻目だった……。助産師という職業をテーマにしたほのぼのミステリ。やや薄めの味付けが疲れた心に優しげです。個人的にはもっと毒々しいのが好きですが。あと、赤ちゃんがいっぱい、というタイトルには偽りがあると思います……。赤ちゃん…

『恋愛の国のアリス』嶽本野ばら

読みました。小説だと思ってたらエッセイだったよ……。野ばらちゃんは小説のほうが好きですね。とか言いつつ『それいぬ』も買ってあるんですけど。恋愛の国のアリス作者: 嶽本野ばら出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2004/10/15メディア: 単行本 クリック:…

『私生活』高橋源一郎

読みました。表紙がはづかしい。タカハシさんの文章は小説じゃなくても小説みたいです。高橋源一郎の本を読み漁っていた中学生の時は、小説よりもエッセイとか文芸時評とかのが好きだったことを思い出しました。私生活作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 集英…

『アルファベット・パズラーズ』大山誠一郎

読みました。短編3作にこのネタを突っ込むのはちょっとどうかなあ。同じ趣向でもっとすごいものがあるし……。それを抜きにすれば「Yの誘拐」がいちばんおもしろかったかな。まあ全体的に無理があるトリックとかが本格っぽくてよかったですよ。アルファベット…

『グラスホッパー』伊坂幸太郎

読みました。好きじゃないほうの伊坂だった。仕事なので人を騙し、仕事なので人を殺し、妻を殺されたので復讐する。無軌道に振るわれる暴力は人生の不条理さをあらわしているのかもしれませんが、中途半端なリアルさで語られる不条理は読んでてつらい。鯨の…

『世界の終わり、あるいは始まり』歌野晶午

読みました。読み始めからずっとずっと、あれ……これもしかして読んだことある?ある?2002年に出されたものなら読んだかもそして忘れているかも……、ということが気になりすぎてどうしようかと思いました。そして最後まで読んでも読んだことがあるかどうかわ…

『ららら科學の子』矢作俊彦

読みました。弱ハードボイルド的な何か。30年ぶりに日本に戻ってきた男を描く物語自体が含むせつなさは非常によかったと思うのですが、まさにこれが直撃するいわゆる団塊の世代の人がこの本を読んでいるところを想像するとげんなりしてしまって、そんなこと…

『ネクロポリス(下)』恩田陸

読みました。うーんうーん。困ったなあ。堪能したんですが、やはり解決編の弱さは否定できない、なあ……。アナザーヒルでヒガンの間だけ死者に会える、という設定はおもしろくて、独特の文化を描いていく上巻はわりとファンタジーしてていいんですが、結末が…

『ネクロポリス(上)』恩田陸

読みました。上巻を読んだ限りでは、いつもの恩田陸。最後までいつもの恩田陸だとまたいろいろ言われちゃうなー、と思いつつ、個人的には非常に楽しく読んでいます。ネクロポリス 上作者: 恩田陸出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2005/10/13メディア: 単…

『ふたりジャネット』テリー・ビッスン

読みました。前半6篇はすごくおもしろかった。万能中国人ウィルスン・ウーシリーズはよくわかりませんでした。唯一重苦しい雰囲気の漂う「冥界飛行士」がいちばん好きです。奇想コレクションの装丁はかわいくていいですね。ふたりジャネット (奇想コレクショ…

「課長 島雅彦」阿部和重

読みました。4ページの掌編で、これが芥川賞受賞第一作。これが……。中原昌也こそ21世紀の石川啄木なのでしょうね、などといった根拠も中身もない*1言葉しか出てきません。何がまずいってこんなのがおもしろいことがいちばんまずいよ。やだやだ。 (新潮 2005…

「冷たい水の羊」田中慎弥

読みました。第37回新潮新人賞受賞作。選評だけ読んで受賞作は読まないつもりだったんだけど、1972年生まれ工業高校卒業後現在まで無職、というニートの見本のような経歴だったので読んでみました。いじめられている中学生男子が「いじめられていない」と思…

『阿部和重対談集』

読みました。『シンセミア』は3部作にする予定なんですね。「神町を舞台にしたスター・ウォーズ」って。榎本俊二・相川博昭との対談が素晴らしくくだらない。ファミレスのウェイトレスを泣かせた話とか。あと、保坂和志は対談でも保坂和志なんだなあ、と思い…

『世界の中心、針山さん』成田良悟

読みました。成田良悟初読み。何故か異常な出来事の中心にいる(わりに影が薄い)針山さんをめぐる連作短編集。第1話から第3話までは結構おもしろかったです。でも、それまでの登場人物が揃う最終話「奇跡の中心、針山さん」がイマイチ……。何と言うか、物語…

『ある日、爆弾がおちてきて』古橋秀之

読みました。すごくおもしろかった。フツーの男の子とフシギな女の子のボーイ・ミーツ・ガール、と言われて何となく想像するようなものを少しゆるめにして切なくしたような感じの短編集。軽さと甘酸っぱさが絶妙です。時間モノが好きな人は是非。あ、あとが…

『BG、あるいは死せるカイニス』石持浅海

読みました。ふつう!生まれた時は全員女性、大人になってから個体として優秀な人間が自然に男性化する、というジェンダーSFな設定からは想像できないほど、ふつうの学園ミステリでした。常軌を逸した人がばんばん出てくるのかと思って楽しみにしてたのに。…