2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『風が強く吹いている』三浦しをん

陸上競技経験者3人しかいないのに1年足らずで箱根駅伝に出ちゃうなんて、ファンタジーとしかいいようがないのですが、いいじゃないのファンタジー。三浦しをん最新作は、スポ根もの、というか、天才もの。もう滅法弱いのですよ、自分。何にって、天才とそれ…

『闇電話』

異形コレクション。この表紙、電車の中で出しづらい!出して読みましたけど。闇電話=異界と繋がる=死者と話せる、という設定の話が多くて、どれも似たり寄ったりだったかも。カジシンは合わないなあ、としみじみ思った。闇電話 異形コレクション (光文社文…

9月のまとめ。

21冊。群像読んだり、棚卸しがあったりだったので、少なめ。それはともかく、滂沱の9月、でありました。己の涙腺の緩み具合に戦慄。『風が強く吹いている』『ブラバン』『目には見えない何か』『愛についてのデッサン――佐古啓介の旅 (大人の本棚)』と当たり…

『邪魅の雫』京極夏彦

読み終わったよ! と達成感まるだしで言ってしまうのは、うーん、やっぱり長いよねえ、これはねえ、という部分がなきにしもあらずなので。この話でこの分量ですか。いや、十分におもしろかったのですが、相変わらず実に懇切丁寧なので、気が短い自分は冗長に…

『君へ。』

読了。君へ。―つたえたい気持ち三十七話 (ダ・ヴィンチブックス)作者: 有栖川有栖,村山由佳,大沢在昌,大槻ケンヂ,大林宣彦,乙一,鴻上尚史,瀬名秀明,鈴木光司,ダ・ヴィンチ編集部出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2004/03/26メディア: 文庫購入:…

『空に浮かぶ子供』ジョナサン・キャロル

読了。空に浮かぶ子供 (創元推理文庫)作者: ジョナサン・キャロル,浅羽莢子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1991/03メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (13件) を見る

『シャルビューク夫人の肖像』ジェフリー・フォード

読了。シャルビューク夫人の肖像作者: ジェフリー・フォード,田中一江出版社/メーカー: ランダムハウス講談社発売日: 2006/07/20メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (34件) を見る

『福家警部補の挨拶』大倉崇裕

倒叙ミステリの短編集。というかコロンボ。いやいや、福家警部補登場シーンで結構びっくりしましたよ。個人的に倒叙ものの追い詰められ感がドキドキしちゃってだめなのですが、このくらいの分量なら大丈夫。次回作(があれば)では、福家警部補は是非萌えキ…

『迷宮レストラン』河合真理

河童の河太郎からガウディまで、歴史上の人物(ということにしておきたい)を招いてもてなす、読むレシピ本。まず驚くのは、綿密に調査して組み上げられたメニュー。その時代にあった食材を使うのはもちろん、本人が好んだもの、旅した地のもの、河童に至っ…

『ジャストボイルド・オ’クロック』うえお久光

あれ、うえお久光の新シリーズ……? 最早望むことはひとつだけ、それはちゃんと終わらせてくれること。というか、ライトノベルが本業の人の仕事は、シリーズをきっちり終わらせることです!放りっぱなしのあれとかあれとかどうなってんのさー、って読者がやき…

『目には見えない何か』パトリシア・ハイスミス

嫌な予感で塗り潰された、はりつめた文章でつづられる短編集。サスペンスでミステリで、というよりも、素晴らしく小説。「生まれながらの失敗者」は傑作。落涙必至です。関係ないけど最近自分の涙もろさがおそろしい。目には見えない何か作者: パトリシア・…

『ブラバン』津原泰水

津原泰水最新作は、20年前の吹奏楽部を舞台にした青春群像小説。スウィング・ガールズみたいに、寄せ集めのブラバンがうまくいくのかと思ったらそうでもなく、20年経った現在から語られるのは、時間は流れること、人は変わりまた変わらないということ、音楽…

『少女七竈と七人の可愛そうな大人』桜庭一樹

地方都市に住まう美貌の少女七竈をめぐる人々のお話。雪風の扱いからすると、これは母と娘の物語なのだろうか。しかし、地方都市というところはずいぶんと息苦しく、生きづらそうな場所であることですね。僕がいるところだって、似たようなものかもしれない…

『恋愛の解体と北区の滅亡』前田司郎

表題作「恋愛の解体と北区の滅亡」は、宇宙人に侵略されたけど別に普通の日常な感じの世界で、憎しみと愛について考えているうちに、何故か女王様とSMすることになる話。話の転がり方が大変好み。「ウンコに代わる次世代排泄物ファナモ」は、まあ、読んでく…

『愛についてのデッサン』野呂邦暢

1979年に出た『愛についてのデッサン』に佐藤正午の解説を加えた本。出た当初、欲しいなあ、でも大人の本棚はちょっと高いですよなあ、などと考えていた自分に言いたい、早く買いなさい、と。野呂邦暢は「草のつるぎ」で芥川賞を受賞し、佐藤正午によれば、…

『晴れのち曇りときどき読書』松浦寿輝

偏狭にしてスノッブ、だと思った。ある種の鼻持ちならなさがあるのは事実で、鼻持ちならない、と言われてもそれを喜びそうな雰囲気さえある。書評が「どうであるべきか」について、僕は言葉を持たないけれど、あとがきで書かれているような模範解答的な書評…

『λに歯がない』森博嗣

読んでて違和感ばりばり。今までのGシリーズとは文体変えてますよね。そんなことない?地の文での呼称って、ずっと「西之園」でしたっけ?「λに歯がない」の意味については、やる気あんのか、と思いましたが、まあ萌絵良かったね、ということで。犀川先生と…

『“文学少女”と飢え渇く幽霊』野村美月

何かこれはあれだな、シリーズ本編のトラウマ話を読むよりも、番外編とかで妖怪遠子先輩の本の話をずっと読んでいたい感じだ。何で本を食べるのかとかは明かされなくてもいいや。次も読みます、たぶん。”文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫)作者: 野村美…

『“文学少女”と死にたがりの道化』野村美月

久々にラノベ読んだ気がする、と思ったらついこの間『12月のベロニカ』読んでるじゃん。ばかばか。 文字通り本を食べて生きる文学少女の天野遠子と、その先輩に物語を供給する元小説家(1作しか出してないけど)の井上心葉の、ふたり文芸部の物語。『人間失…

『きみのいる生活』大竹昭子

ふとしたことから飼い始めたスナネズミとの生活を綴ったエッセイ。スナネズミといえば動物のお医者さん。あの中でも、ハムテルの家のスナネズミはただわらわらしているだけなのに、小夜ちゃんだったかが1匹で飼っているスナネズミはすごく懐いていて、あんな…

『破局』ダフネ・デュ・モーリア

異色作家短編集のひとつ。世界とのずれを描いていて、これは読んでも何が起こっているのか理解できない人がいるかも。決して難解なわけではなく、むしろひとつひとつの話は、わかりやすすぎるほどなのですが。世の中には「あおがい」を読んでも何も感じない…

『七つの仮面』横溝正史

金田一耕介ものの短編集。あまりにあっさりしていて喰い足りないのだがそれは萌えで補えばいいのでしょうか。何も考えずに読めて尚且つそれなりにおもしろいのは個人的には高ポイント。七つの仮面 (角川文庫)作者: 横溝正史出版社/メーカー: 角川書店(角川グ…