『スリーピング・マーダー』アガサ・クリスティー
早川書房のクリスティー文庫を、1から順番に読んでいます。丸2年をかけて、ポアロとミス・マープルの長編46作を読み終えたところなので、けっこうなゆっくりペースですが、ひとつずつ楽しむにはこれくらいがちょうどいいのかも。
さて、ミス・マープルの最後の長編は『スリーピング・マーダー』。刊行こそ最後ですが、執筆自体はそれよりも30年近く前ということで、後期に書かれた『復讐の女神』などと比べると、ミス・マープルが若い。後期の作品ではポアロもミス・マープルも容赦なく年寄り扱いされ、しばしば時代遅れの存在として描写されますが、この作品では、おせっかいな老嬢ではあるけれども、まだそれほど周囲から浮いてはいない様子。ということもあって、事件の真相自体の苦い後味はありつつも、読み心地は実はそれほど重くない。
ポアロはぜひ順番に読んでいただきたいですが、ミス・マープルはこれから入るのもアリかなと思いました。ちなみに個人的なミス・マープルのベストは『鏡は横にひび割れて』。見事な伏線と人物描写でありました。
- 作者: アガサ・クリスティー,綾川梓
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/11/18
- メディア: 文庫
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- 作者: アガサ・クリスティー,橋本福夫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/07/15
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