2010-01-01から1年間の記事一覧

2010年に読んだ本

とりあえず大晦日なので……。今年は287冊読みましたようですよ(+これから読む長嶋有『祝福』)。もう少し読みたかったなあという気がしつつも、わりに充実した読書ができた1年だったように思います。ではまず今年良かった小説から。シューマンの指 (100周年…

『エデン』近藤史恵

たいへんおもしろい自転車小説だった。ミステリ要素はうすめだが、誰がそんなことを気にするというのだ。エデン作者: 近藤史恵出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/03メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 75回この商品を含むブログ (107件) を見る

『天冥の標 2』小川一水

これが1巻の世界につながるのかー。気合いの入った大風呂敷だなあ。最後まで楽しみに付き合いたいと思う。天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)作者: 小川一水出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/03/05メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 78回この商品を…

『感応連鎖』朝倉かすみ

ぱんぱんにふくらんだ節子の話がもっと読みたかったよ。感応連鎖作者: 朝倉かすみ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/02/20メディア: 単行本 クリック: 49回この商品を含むブログ (21件) を見る

『天国旅行』三浦しをん

もっとドロドロしてもよかったのになあ。しかし三浦しをんはここぞというときに、素晴らしくきらきらした文章を書くので大好きです。天国旅行作者: 三浦しをん出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/03メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 38回この商品を含…

『さすらう者たち』イーユン・リー

たいへん息苦しい小説だった。さすらう者たち作者: イーユン・リー,篠森ゆりこ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2010/03/10メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (12件) を見る

『寿司屋のかみさんの今夜のおつまみ』佐川芳枝

出てくる料理がおいしそうなのはもちろんのこと、なんだか楽しげに働いているのが伝わってきて、それがまたいい。寿司屋のかみさんの今夜のおつまみ作者: 佐川芳枝出版社/メーカー: 青春出版社発売日: 2009/10/01メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック:…

『Nのために』湊かなえ

デビュー作のインパクトが強すぎるとたいへんだなあ。Nのために作者: 湊かなえ出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2010/01/27メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 71回この商品を含むブログ (83件) を見る

『1Q84 Book3』村上春樹

なぜ物語をそこにまとめてしまったのかがよくわからない。ごくごく正直に言って、Book2までで十分だったと思う。牛河はよかったよ。1Q84 BOOK 3作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/04/16メディア: ハードカバー購入: 70人 クリック: 2,125回…

『夜の試写会』S・J・ローザン

去年『冬そして夜』を読んでからさかのぼってシリーズをぜんぶ読み、新作を待っているリディア&ビルのシリーズの日本オリジナルの短編集。いちばん好きなのは「ただ一度のチャンス」。早く長編の新作が読みたいです。夜の試写会 (リディア&ビル短編集) (創…

『蝦蟇倉市事件 2』

米澤穂信は良かったんだが、ただでさえまとまりのない中、断トツで浮いている。蝦蟇倉市事件2 (ミステリ・フロンティア)作者: 秋月涼介,北山猛邦,米澤穂信,村崎友,越谷オサム,桜坂洋出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2010/02/24メディア: 単行本購入: 2人…

『吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日』森光子

親の借金の形に吉原に売られ、そこを脱出するまでの花魁の手記。大正時代のリアルですよこれ。鋭い観察眼と意志の強さを持った類い稀な人物だったからこそ、逃げ出すことができたんだろうなあ。吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)作者: 森光子出版社/メ…

『逆に14歳』前田司郎

老人じゃない人が書いた老人小説は嘘っぽくなりがちなんだけど、老人じゃない自分が読んで老人的リアルさが感じられるのはやっぱり身体性が織り込まれてるからなのかなあと思う。演劇の人の小説を読むといつも身体性という言葉を思い浮かべてしまう。思考す…

『だから人は本を読む』福原義春

著者は資生堂名誉会長。本の本というとどうしても出版業界周辺にいる人のものが多いので、その点この本は新鮮。古典から新しい小説まで、読書の幅も広い。どうせ論語とかすすめちゃうんでしょ、と斜めから読み始めたが、なかなかどうして、ブックガイドとし…

『今宵も酒場部』牧野伊三夫 鴨井岳

ロックフィッシュに行ってみたい。今宵も酒場部 飲んで描いたおとなの部活動報告作者: 鴨井岳,牧野伊三夫出版社/メーカー: 集英社発売日: 2008/12/15メディア: 単行本 クリック: 25回この商品を含むブログ (10件) を見る

『女中譚』中島京子

中島京子の十八番ともいうべき、トリビュート小説。やはりうまい。女中譚作者: 中島京子出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2009/08/07メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 5回この商品を含むブログ (19件) を見る

『ぜんぜんたいへんじゃないです。』朝倉かすみ

いい意味で、若いひとだなあ、と思う。物事に対する姿勢がすれてなくて、何だか毎日楽しそう。ぜんぜんたいへんじゃないです、とつぶやいているちっちゃい朝倉さんを想像するとなごみます。ぜんぜんたいへんじゃないです。作者: 朝倉かすみ出版社/メーカー: …

『最後のおでん―ああ無情の泥酔日記 続』北大路公子

読み終わったあと、親近感を抱いた自分がちょっとせつなくなる。最後のおでん―ああ無情の泥酔日記 続作者: 北大路公子出版社/メーカー: 寿郎社発売日: 2006/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (3件) を見る

『蝦蟇倉市事件 1』

個々人の力量を云々しちゃうとつらいものがあるけど、それは別としてせっかく蝦蟇倉市をつくったなら、それなりのディレクションがあるとよかったのではないかと思います。蝦蟇倉市事件1 (ミステリ・フロンティア)作者: 道尾秀介,伊坂幸太郎,大山誠一郎,福田…

『枕もとに靴―ああ無情の泥酔日記』北大路公子

北大路公子のダメさにくらべれば自分なんて何ほどでもないと感じるのではないかと思って、二日酔いの日に読んでみたら、なんつーか相乗効果で、あいたたたた、ってなった。枕もとに靴―ああ無情の泥酔日記作者: 北大路公子出版社/メーカー: 寿郎社発売日: 200…

『想い雲』高田郁

某所で、これはガラスの仮面だ、と言われているのを見て、卓見だと思った。出たばかりなのに次が待ち遠しいです。想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)作者: 高田郁出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2010/03/01メディア: 文庫購入: 6人 クリック: …

『この世は二人組ではできあがらない』山崎ナオコーラ

どの作品を読んでも、その作品についてではなく、山崎ナオコーラについて考えているのはなぜなんだろう。ものすごく歪で、だからこそどうなっていくのか気になって、いつのまにか見続けている。この世は二人組ではできあがらない作者: 山崎ナオコーラ出版社/…

『ああ、なんて素晴らしい!』ショーン・ウィルシー

アメリカの金持ちセレブの家庭ってたいへんですねやっぱり。ああ、なんて素晴らしい!作者: ショーン・ウィルシー,坂野由紀子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/12/22メディア: 単行本 クリック: 37回この商品を含むブログ (11件) を見る

『花散らしの雨』高田郁

忍び瓜はおいしそうだなあ。読んでるとお酒が飲みたくなっていけない。花散らしの雨 みをつくし料理帖作者: 高田郁出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2009/10/15メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 60回この商品を含むブログ (94件) を見る

『口福無限』草野心平

花びらをサンドイッチにする、その感性が詩人。口福無限 (講談社文芸文庫)作者: 草野心平出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/12/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る

『叫びと祈り』梓崎優

デビュー作とは思えないほどの完成度で、各所で絶賛されているのも納得。個人的にもこの文章はかなり好き。叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)作者: 梓崎優出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2010/02/24メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 203回この商…

『キケン』有川浩

さっくり読めて何も残らない。この清々しさ。キケン作者: 有川浩出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/01/21メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 217回この商品を含むブログ (156件) を見る

『森に眠る魚』角田光代

うまく人間関係を築けなかった経験をもつ人間には痛すぎる話。角田光代は小説がうまいなあ。森に眠る魚作者: 角田光代出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2008/12/10メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 89回この商品を含むブログ (105件) を見る

『マイナークラブハウスは混線状態』木地雅映子

また、続きが気になる!ところで終わってるよー。このシリーズのためにも、ピュアフル文庫、なくならないでほしいものです。(実は去年ポプラ文庫ピュアフル、になってるんだけど)(P[き]1-4)マイナークラブハウスは混線状態 (ポプラ文庫ピュアフル)作者: 木…

『装幀思案』菊地信義

上等な文章だなあ。と、うっとりしていると、指が切れそうになる鋭さ。どんな内容がこんな力仕事を必要としたものやら、というひとことが怖い。装幀思案作者: 菊地信義出版社/メーカー: 角川学芸出版発売日: 2009/03/14メディア: 単行本 クリック: 6回この商…