2005-01-01から1年間の記事一覧

『エンド・ゲーム』恩田陸

読みました。常野物語の新作。裏返したり裏返されたりする拝島家の人々の話です。何作か出ていて、より大きな物語の一部であるということがわかっているので、早くそっちが読みたいよ!という意味でちょっと物足りなかったかな。まさにオセロのようにぱたぱ…

『だりや荘』井上荒野

読みました。漠然ともっとどろどろしたものをイメージしていましたが、わりとさらっとしてました。良くも悪くも、よくできました、という感じの作品。食事の描写はもっとたくさんあってもよかったんじゃないかな。だりや荘作者: 井上荒野出版社/メーカー: 文…

『書きあぐねている人のための小説入門』保坂和志

読みました。小説を書きたい、書こうと思っている人は是非。今までの小説の書き方の本とは違う視点から、小説を書くということを説明しようとしている本なので。物語を書きたい人は読んでも意味がわからないのではないかと思いますが。書きあぐねている人の…

『エイダ』山田正紀

読みました。すごくおもしろいんだろう、ということは理解できましたが、乗り切れないままに終わってしまいました。ごめん、よくわかんなかった。オレが悪かった。エイダ (ハヤカワ文庫 JA (599))作者: 山田正紀出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1998/05/01…

ノートパソコンが壊れて修理に出したのが戻ってきました。今年もあと数時間だけど紅白も見ずに*1ばりばり更新するよ。 *1:毎年見てない。

12月に読んだ本。

『エイダ』山田正紀 『書きあぐねている人のための小説入門』保坂和志 『だりや荘』井上荒野 『エンド・ゲーム』恩田陸 『ベルカ、吠えないのか』古川日出男 『告白』町田康 『悪い男』津原泰水 『七姫物語』高野和 『人生を救え!』町田康 いしいしんじ 『…

2005年を振り返る。

生活は振り返るようなこともないので、読書方面で。SFのひとになるなどとつぶやいていたわりにSFは全然読めてなくて、相変わらずジャンル読者にはなれないぐちゃぐちゃの1年でした。新刊既刊問わずおもしろかった小説は、 『ミヤザワケンジ・グレーテストヒ…

『ベルカ、吠えないのか』古川日出男

読みました。犬犬犬!軍用犬の系譜とともに語られる20世紀の戦争、という紹介では全然この本のおもしろさは伝えられてなくて、とにかく犬。優秀かつ強靭な犬の美しさを堪能しました。生まれて流れて死んでを繰り返して次々に犬が出てくるんですが、系図など…

『告白』町田康

読みました。しんどかった。考えていることと話すことが一致せず苦悩する熊太郎。それゆえにまわりと馴染めない熊太郎。馴染もうとした結果阿呆なことをやってしまう熊太郎。結果がすぐ出ないとやる気が出ない熊太郎。善人でいたいというせこい考えを見抜か…

「ザ・パインハウス・デッド」舞城王太郎

終わってねー!!ディスコ探偵水曜日第2部はディスコ探偵が西暁に行ってパインハウスで館モノ、うわーわけわかんねえ、でも奈津川家サーガのノリが戻ってきたかも、というか講談社講談社連呼して掲載誌を間違えたのではないかと思うほどでしたが、きたよこれ…

『悪い男』津原泰水

読みました。映画のノベライズということで、津原泰水らしい妄想が妄想を呼ぶような眩暈感はなくわりとあっさりとした印象。映像が頭の中にちゃんと浮かんでくるのでノベライズとしてはいいのかもしれませんが、やっぱりちょっと物足りない。もっとぐらぐら…

『七姫物語』高野和

読みました。決して悪くはないんだけど、こういう系統のお話だともっとおもしろいものがあるしなあ。第1作目なので仕方がないのかもしれませんが、運命に翻弄される女の子を書きたいなら、国家統一云々は一言ふれるだけ、とかにして四宮との戦いに的を絞った…

「SPEEDBOY!」舞城王太郎

おもしろかったけど、正直よくわかんない。マッハで走れる!とかの小学生男子的な部分を楽しんでたら白い玉とか出てきて楠夏がその中にいて、ん?んん?と思ってるうちに終わってしまった。乗り切れなかった理由はいろいろありますが、新しい長編を読んだら…

「一般の魔力」町田康

うわこれちょっと。町田康がこういうもの書くとは思わなかった。まったく想像力のない、想像力のないことに気づくことさえできない人間を描いた短編。ほんとに怖い。むちゃくちゃ怖い。怖すぎる。もうだめだ。 (新潮 2006年1月号所収)

「もえない 第1回」森博嗣

燃えないなのか萌えないなのかまあどっちもなんだろうけど、それはさておき森博嗣が書く青春文学らしい。男子高校生が主人公で(ささきすばるの扉絵では主人公らしき人物が学ランを着ているので叙述トリックは仕掛けられていないものとみなします)、クラス…

「憂い男」「愛らしき目もと口は緑」「レディ」佐藤友哉

サリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』をオマージュした作品もこれで8作になり、残る1作は単行本に書き下ろしという形になるに決まっていて、お前は計算ずくなのか?ん?と言いたくなるような、いたいけな読者から金をむしりとるようなやり口は相変わらず…

「大きな熊が来る前に、おやすみ。」島本理生

着実にうまくなっている感じはあるし、なかなかおもしろく読めたんだけど、だけど、最後の最後で激しく萎える一文があって、それは書いちゃだめー!と思いました。大きな熊の持つ意味が反転するところがかなり良かっただけに、その一文で結構がっくりきた。…

「国防レンアイ」有川浩

有川浩はほんとにツンデレが好きだなー。今までの作品から怪獣を抜いただけの話でした。 (野性時代 2006年1月号所収)

「スイート・ダイアリーズ」須賀しのぶ

こちらは「大人向け」を意識して書かれてます。不定期連載の第1回目、なのか?何となく『OUT』っぽいかな。30代女性が人を殺したり何だり。現代ものなので、物語を動かすよりも心情を動かすほうに力点がおかれていて、今後の展開が楽しみですが次がいつ載る…

『人生を救え!』町田康 いしいしんじ

読みました。町田康が人生相談にこたえる前半と、町田康といしいしんじが浅草とかをぶらぶら歩きながら話してる後半。これ読むと町田康はちゃんとしてるなー、と思いますね。後半で話してることもすごくふつうだし。いしいしんじが変な人だから余計そう感じ…

「三月の5日間」岡田利規

戦争が始まったのとほとんど同じに渋谷のラブホテルに入って5日間やった、という話。筋とは違う意味での「流れ」があって、それに乗ってすらすらと読めます。演劇の人が書く言葉は発音されることを前提にしてるのかな、とかふつうの感想しか浮かんできません…

『水の迷宮』石持浅海

読みました。ほかの登場人物に比べて主人公の造形が平板なため、物語に引き込まれないまま読み終わってしまった。個人的に謎解き後の探偵の行動が容認できません。いくらお話とは言え、それをやっていいのかと。これに素直に感動してる人はちょっと怖い。水…

『マリア様がみてる 薔薇のミルフィーユ』今野緒雪

読みました。妹オーディション抜かしてるけどいいや。佐藤聖が出てきたのでよかったね、と*1。マリア様がみてる 21 薔薇のミルフィーユ (コバルト文庫)作者: 今野緒雪,ひびき玲音出版社/メーカー: 集英社発売日: 2005/07/01メディア: 文庫 クリック: 27回こ…

『GOSICK V』桜庭一樹

読みました。シリーズとしてのお話の部分が多くてミステリ的には物足りないんですが、とにかくヴィクトリカがかわいいのでいいのです。かわいい。GOSICK(5) ―ゴシック・ベルゼブブの頭蓋― (富士見ミステリー文庫)作者: 桜庭一樹,武田日向出版社/メーカー: 富…

『いつもの道、ちがう角』松尾由美

読みました。ダーク・ファンタジーの短編集。解説で西澤保彦が述べているように「奇妙な味」の短編集と言ったほうが通りがいいような気が。どの話もはっきりとしたオチがついているわけではなく、読後に言葉には出来ないもやもやした感覚が残ります。だから…

『11の物語』パトリシア・ハイスミス

読みました。ずっと読みたかった本なので早川から出てよかった。しかし気持ち悪い!いちばん最初の「かたつむり観察者」を読んで口の中がじゃりじゃりぬめぬめするような不快感に襲われ、「クレイヴァリング教授の新発見」はもうぞわぞわするので読んでられ…

『ヘビイチゴ・サナトリウム』ほしおさなえ

読みました。うーむ。何を読めばいいのかわからないまま読み終わってしまった。道具立ては嫌いなものはない、というかむしろ好きなものが揃っているのに、それらがうまく噛み合わないまま話が進んでいって、そのぎくしゃくとした感じがタイヤの空気が抜けた…

「ぜつぼう」本谷有希子

ぜつぼう。ぜつぼう。絶望でさえ、ぜつぼう、とつぶやいてしまうような安っぽさにいろどられた「終わったお笑い芸人」の話。不条理な状況に対してなされる的確なツッコミがおもしろい。ぜつぼうって滑稽なものだよね、というだめ人間小説でした。 この間、劇…

『終わりのクロニクル<7>』川上稔

読みました。ふー。本屋で見た瞬間に笑ってしまうほどの厚さ。京極堂クラスです。すぐに読まなければ手を付けられなくなるのがわかっているので、必死で読みました。半分くらい理解できてないと思いますが、僕にはこの世界設定を全部理解する余裕がありませ…

『海辺のカフカ』村上春樹

再読。『KID A』を延々と聴きながら読んでいたので、how to disappear completelyな気分です。付箋をつけたところが全部大島さんのセリフでした。僕が大島さんに惹かれるのは、混迷を深め自分がどこへ向かっているのかわからない人たちの中で、唯一客観性を…