2005-01-01から1年間の記事一覧

『四十日と四十夜のメルヘン』青木淳悟

読みました。表題作「四十日と四十夜のメルヘン」はおもしろかった。日記と現実と作中作が混ざり合ってぐるぐるする感じはかなり好み。この人が書いた長編を読んでみたい、と思わせるものがありました。「日本のトマス・ピンチョン」だそうですが、どうなん…

『ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ』高橋源一郎

読みました。まさにグレーテストヒッツというのがふさわしいボリューム。読むのに時間がかかりましたが、これは素晴らしい本です。あるいは、傑作。 タイトルがあらわしているように宮澤賢治の作品をリミックスしたような短編集。雑誌掲載時とは順序を入れ替…

『デウスの棄て児』嶽本野ばら

読みました。天草四郎を題材にした小説。これはだめですね。嶽本野ばらはロマンティックな/狂気の共依存関係を描く作家であり、この作品においては「デウス」という存在と天草四郎の関係がそれに当たるのでしょうが、実在しカリスマであった人物を選んだ時点…

『君が代は千代に八千代に』高橋源一郎

読みました。いいところもあるけどね、という感じ。密度が低いというか、適当に書いたっぽい。その適当さに慣れてくる後半の作品になると結構楽しめる。「素数」「ヨウコ」「愛と結婚の幻想」あたりは好き。あと「SF」。SFです。君が代は千代に八千代に (文…

『人獣細工』小林泰三

読みました。みっつ短編が入っていて、とりあえずどの話にもまったく怖さのツボを刺激されませんでした。それでいいのか。「人獣細工」は話がストレートすぎて文章がもたもたしているように感じられるし、「吸血狩り」は語り手の邪気のなさを強調しすぎてオ…

『もう一人のチャーリイ・ゴードン』梶尾真治

読みました。ノスタルジー篇と銘打たれた短編集。いい話だったなあ、という印象はあるのに、何故か読んでる最中はあんまり楽しくない。妙にゆるめの文体のせいかも。どれくらいのスピードで読めば合うのかが最後までつかめなくて、もやもやした気分のまま読…

突然、

優良可不可で点をつけてみることにしました。飽きたらやめます。

『東京飄然』町田康

読みました。一昨日サイン会に行ったんですよ。生身の町田康は素晴らしくかっこいい人でした。というのはともかく、町田康が東京(近郊)をぶらぶらするだけのエッセイ。上野のくだりにめちゃめちゃ笑った。芸というのはこういうことだ、と思う。東京飄然作…

『流血女神伝 喪の女王2』須賀しのぶ

読みました。半分くらい設定を忘れてるだめなオレ……。登場人物増えてるし名前が変わったりしてる人いるし名前しか出てこない人いるし、もう無理。最早自分の記憶力の薄さを嘆くしかないのか。この長さだといちいち読み返してる時間はないので、完結してから…

『四国はどこまで入れ換え可能か』佐藤雅彦

読みました。ウェブで配信されていたものをCD-ROMにしさらに単行本化しさらに文庫化したもの。ほのぼのしたかわいい見た目に騙されてはいけません。「ナイスキャッチ」「狼煙」「身投げ」といった作品に見られるキレのよさこそがこの本のすごいところなので…

『ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね』岡崎京子

読みました。何かが試されそうな気がして今まで手を出せなかったのですが、全然大丈夫だった。ふつうにおもしろい。漫画家岡崎京子の描くものより多少ファンタジック。ボリス・ヴィアンっぽすぎる気がしなくもないけどまあそれはね。ぼくたちは何だかすべて…

『よくわかる現代魔法』桜坂洋

読みました。魔法はコードであるという設定は良いなあ、と思ったんですが、キャラがきつい。特に主人公にイラつくことこの上なく、終盤読むのがつらかった。そういえば『スラムオンライン』に出てきた女の子もちょっとどうかと思ったな……。桜坂洋とはそーゆ…

『黄泉路の犬』近藤史恵

読みました。南方署強行犯係シリーズの2作目。動物を飼っている人には胸が痛くなるような話ですが、心を病んだ人間を嫌らしくなくかつ過剰な重苦しさ抜きで描けるのは近藤史恵のいいところです。黄泉路の犬 (トクマ・ノベルズ 南方署強行犯シリーズ)作者: 近…

『林真紅郎と五つの謎』乾くるみ

読みました。ごめんなさいつまらなかった。妻を亡くして大学を辞めた元法医学者という設定がいかされてない(たまに妻を思い出して切なくなったりする程度)なのはいただけない。脳内でシンクロしたときに解ける謎というのも、別にシンクロしなくてもいいじ…

『海の底』有川浩

読みました。予想外のおもしろさでした。『塩の街』がいまひとつ好きになれなかったので、どうかなあ、と思いながら読み始めましたが、子供たちが潜水艦に逃げ込むあたりでがっちり引き込まれてあとは一気読みでした。良い意味で何も考えずに読める小説。海…

『異形コレクション オバケヤシキ』

読みました。異形コレクション初めて読みました。ひとつのテーマで19人も書けばネタがかぶるのも必至、というわけで、これという作品がなかったかな。どれも悪くはないんですが。桜庭一樹は仕事しすぎですよね。オバケヤシキ―異形コレクション〈33〉 (光文社…

10月に読んだ本。

『異形コレクション オバケヤシキ』 『海の底』有川浩 『林真紅郎と五つの謎』乾くるみ 『黄泉路の犬』近藤史恵 『よくわかる現代魔法』桜坂洋 『ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね』岡崎京子 『生首に聞いてみろ』法月綸太郎 『腑抜けども、悲しみの愛…

『現代SF1500冊 回天編』大森望

ざーっと流し読み。すごい。労力が。SFへの道は長く険しい。 オレのSF魂が口をつぐむことを許さない。 この一言がめちゃくちゃツボに入って、思わず付箋を貼ってしまった。普段そんなことしないのに。オレの本格魂が口をつぐむことを許さない、とか、オレの…

『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』本谷有希子

読みました。うーん、これは……いまいち。文章が硬すぎてうまく入っていけなかった。タイトルはいいし、絵は浮かぶし、キャラもたってるし、ちょっともったいない。自分は絶対に女優になれると信じて若干いっちゃった行動をとる姉を漫画にして賞に応募する妹…

『生首に聞いてみろ』法月綸太郎

読みました。地味だなー。いや、地味というか、手堅いというか、堅実というか、華がないというか……。いまさら読んでいることからもわかるように別に僕は法月の新作を待っていなかった人なので、ミステリらしいミステリだなあとそれなりに満足したんですが、…

『マリア様がみてる 特別でないただの一日』今野緒雪

読みました。マリみて読むのめちゃくちゃ久しぶり。久しぶりに読んだら何か薄くてぬるい話であまり楽しめませんでした。マリア様がみてる 18 特別でないただの一日 (コバルト文庫)作者: 今野緒雪,ひびき玲音出版社/メーカー: 集英社発売日: 2004/10/01メディ…

『マリア様がみてる インライブラリー』今野緒雪

読みました。うん、何で楽しめないのか考えたらすぐわかった。聖さまが出てこないからですね。マリア様がみてる 19 イン ライブラリ (コバルト文庫)作者: 今野緒雪,ひびき玲音出版社/メーカー: 集英社発売日: 2004/12/25メディア: 文庫 クリック: 12回この商…

『東京奇譚集』村上春樹

読みました。「どこであれそれが見つかりそうな場所で」における階段や「品川猿」における名札と猿なんかはいかにも村上春樹的で、それはそれで好きなんだけど、もうちょっと、この先が読みたいのに、という物足りなさがあるのも事実。 ところで僕はミスドの…

『海を見る人』小林泰三

読みました。ハードSFという言葉に、全然意味がわからなかったらどうしよう、という不安を抑えきれずにいたのですが、杞憂でした、ほとんど。いや、「時計の中のレンズ」は理解できませんでしたよ。あ、「母と子と渦を旋る冒険」もよくわかんなかった……。で…

『赤ちゃんがいっぱい』青井夏海

読みました。しまった2巻目だった……。助産師という職業をテーマにしたほのぼのミステリ。やや薄めの味付けが疲れた心に優しげです。個人的にはもっと毒々しいのが好きですが。あと、赤ちゃんがいっぱい、というタイトルには偽りがあると思います……。赤ちゃん…

『恋愛の国のアリス』嶽本野ばら

読みました。小説だと思ってたらエッセイだったよ……。野ばらちゃんは小説のほうが好きですね。とか言いつつ『それいぬ』も買ってあるんですけど。恋愛の国のアリス作者: 嶽本野ばら出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2004/10/15メディア: 単行本 クリック:…

『私生活』高橋源一郎

読みました。表紙がはづかしい。タカハシさんの文章は小説じゃなくても小説みたいです。高橋源一郎の本を読み漁っていた中学生の時は、小説よりもエッセイとか文芸時評とかのが好きだったことを思い出しました。私生活作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 集英…

『アルファベット・パズラーズ』大山誠一郎

読みました。短編3作にこのネタを突っ込むのはちょっとどうかなあ。同じ趣向でもっとすごいものがあるし……。それを抜きにすれば「Yの誘拐」がいちばんおもしろかったかな。まあ全体的に無理があるトリックとかが本格っぽくてよかったですよ。アルファベット…

『グラスホッパー』伊坂幸太郎

読みました。好きじゃないほうの伊坂だった。仕事なので人を騙し、仕事なので人を殺し、妻を殺されたので復讐する。無軌道に振るわれる暴力は人生の不条理さをあらわしているのかもしれませんが、中途半端なリアルさで語られる不条理は読んでてつらい。鯨の…

『世界の終わり、あるいは始まり』歌野晶午

読みました。読み始めからずっとずっと、あれ……これもしかして読んだことある?ある?2002年に出されたものなら読んだかもそして忘れているかも……、ということが気になりすぎてどうしようかと思いました。そして最後まで読んでも読んだことがあるかどうかわ…