2007-01-01から1年間の記事一覧

『ぐるりのこと』梨木香歩

猛々しい生き方はいやだ。かといって卑屈になるのももっといやだ。 ぐるりのこと (新潮文庫)作者: 梨木香歩出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/06/28メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 35回この商品を含むブログ (102件) を見る

『るんびにの子供』宇佐美まこと

表題作は、『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞作。地味で淡々とした語り口ながら、じんわり怖い、余韻重視の作品。どれも物語のずらし方が巧みで、読んでいるうちにいつのまにか知らない場所に来ていた、という感じ。「るんびにの子供」「石榴の家」「とびだ…

『ミノタウロス』佐藤亜紀

凡百の小説家なら、やたらと枚数を費やしたくなるようなシーン/人物/物語を、この分量でまとめ、読みごたえそのまま、ていうかむしろ重くなってるんじゃ?というほどみっしりとした小説。痺れる。堪能した。ミノタウロス作者: 佐藤亜紀出版社/メーカー: 講談…

『失われた探険家』パトリック・マグラア

失われた探険家 (奇想コレクション)作者: パトリックマグラア,Patrick McGrath,宮脇孝雄出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2007/05/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (31件) を見る

『ハルさん』

ハルさん (ミステリ・フロンティア)作者: 藤野恵美出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/02/28メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 6回この商品を含むブログ (39件) を見る

『一人で始める短歌入門』枡野浩一

一人で始める短歌入門 (ちくま文庫)作者: 枡野浩一出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/06/01メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 76回この商品を含むブログ (28件) を見る

『モップの魔女は呪文を知ってる』近藤史恵

モップの魔女は呪文を知ってる (ジョイ・ノベルス)作者: 近藤史恵出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2007/06/15メディア: 新書 クリック: 7回この商品を含むブログ (49件) を見る

『ふたつめの月』近藤史恵

ふたつめの月作者: 近藤史恵出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/05/28メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (42件) を見る

『作者不詳』三津田信三

作者不詳―ミステリ作家の読む本 (講談社ノベルス)作者: 三津田信三出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/08メディア: 新書購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (17件) を見る

『一日 夢の柵』黒井千次

一日 夢の柵作者: 黒井千次出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/01/26メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 14回この商品を含むブログ (18件) を見る

『ジャンナ』伊井直行

ジャンナ作者: 伊井直行出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 1995/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る

『漱石先生の事件簿 猫の巻』柳広司

漱石先生の事件簿―猫の巻 (ミステリーYA!)作者: 柳広司出版社/メーカー: 理論社発売日: 2007/04/01メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (36件) を見る

6月に読んだ本。

19冊。ゲームやってたからなー。あと暑かったからなー。今月は『花宵道中』と『ジャン=ジャックの自意識の場合』が良かったかなー。『囚人のジレンマ』『クレイドゥ・ザ・スカイ』『虐殺器官』『青年のための読書クラブ』等々、積み単行本が増えてきたので…

『ジャン=ジャックの自意識の場合』樺山三英

メッタ斬り2007で、「この作者は平山瑞穂の『ラス・マンチャス通信』が好きでファンタジーノベル大賞に応募したけど落ちた」(大意)というようなことが書かれており、それは何をおいても読まねばなるまい、ということで。読みました。おもしろかった。予想…

『ジョン平とぼくらの世界』大西科学

「いつまでも、さんぽ、しよう、しげる」 ジョン平とぼくと3 ジョン平とぼくらの世界 (GA文庫)作者: 大西科学,銀八出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ発売日: 2007/06/14メディア: 文庫 クリック: 11回この商品を含むブログ (45件) を見る

『目白雑録』金井美恵子

映画の話はほとんどわからなくて、本(というより文壇とか批評家)の話もわかったりわからなかったりで、まあ芸が達者なので楽しく読めはするけれども、正直に言えば、物見高い人だなあ、と思った。自分は無気力系なのでついていけません。目白雑録 (朝日文…

『臍の緒は妙薬』河野多恵子

読売の川上弘美評*1を見て、あの川上弘美が「手をついて謝るしかない」などと言うとは、いったいどんな作品なのであろーか、と思って読んでみた。短篇集の全体は、きちんと選ばれているけれどもわりあいにゆるゆるとした感じの文章で、しかしつられてゆるゆ…

『花宵道中』宮木あや子

三浦しをんの帯を見て、気になっていた本。R-18文学賞受賞作だということはすっぽり頭から抜け落ちていたので、花魁が出てくる普通の時代物だと思って読んだら、びっくりだった。そりゃ、R-18だもんな。しかしそれを抜きにしても(抜いたらだめですが)、な…

『正しく時代に遅れるために』有栖川有栖

エッセイ集。新聞に載ったものなどが多く、わりと一般向けで読みやすい。休日にぴったり。結構きついこと言ってる鮎哲賞の選評がおもしろかった。たいへんだろうなあ。正しく時代に遅れるために 有栖川有栖エッセイ集作者: 有栖川有栖出版社/メーカー: 講談…

『スラッシャー 廃園の殺人』三津田信三

この表紙の通り、B級ホラー感満載。しかしひどい帯だ。講談社ノベルスとは思えません。『シェルター 終末の殺人 (ミステリ・フロンティア)』がわりと好き、理由は怖かったから、という自分ですが(あまり同意を得られない)、これは乗り切れなかった。ネタも…

『文学賞メッタ斬り!2007 受賞作はありません編』

中原昌也の話は、聞きに行ったので読まず。年度版という体裁になったせいか、幅広く作品や作家に言及する感じはなく、まあいつもどおりかなあと。巻末で文学賞受賞作に点数つけてるところがいちばんおもしろうございましたね。あと、『ジャン=ジャックの自…

『三月生まれ』伊井直行

今年の初め、『青猫家族輾転録』を読んでから、『愛と癒しと殺人に欠けた小説集』『お母さんの恋人』『濁った激流にかかる橋』『服部さんの幸福な日』と、さかのぼるように少しずつ伊井直行作品を読んでいるわけですが、いやあ、実にとらえどころがない。あ…

『エロマンガ島の三人』長嶋有

(まさかの)大江健三郎賞受賞後第1作がこのタイトル!なんとなんと。エロマンガ島でエロマンガを読むという企画のためにエロマンガ島に行った3人を描く表題作ほか、SFの雑誌に書いたものや、官能小説特集に書いたもの(全然エロくありませんが何でですか!…

『Self-Reference ENGINE』円城塔

SF脳が装備されていないせいで(たぶん死ぬまで装備できない。何なんでしょうかこれ)、ちょっと読むのに時間がかかってしまいましたが、おもしろかった。時間に何か問題がある世界で、人間が何かしたり、巨大知性体が戦ったりするお話が、22個。頭悪すぎる…

5月の読了。

23冊か、24冊か……。あとでちゃんと数えます。『双生児』『きみはポラリス』『Self-Reference ENGINE』『ダーティ・ワーク』が今月の良かった4冊。ガガガ文庫は衰退のほかに『マージナル』を読みました。『樹海人魚』も買ったのでそれも読む。6月は何かあった…

『はじめての文学 村上龍』

龍初体験。春樹大好きなのに。むしろ春樹大好きだからこそ。W村上なんて言われてた時代もあったねー。なんつって。以前はセックスとバイオレンス、最近は時事問題を盛り込みまくるというイメージが強くて、そういうのはちょっとね、と思って読まなかったわけ…

「オブ・ザ・ベースボール」円城塔

何だかいろいろ経緯があって、文學界新人賞受賞後第1作がJコレになってしまった(書いた順番は逆らしいけど)という、一部で鳴り物入りの円城塔。の文學界新人賞受賞作。目新しさはあるけど、おもしろいのかって言われたら微妙。センスだけで繋いだ文章がち…

『首無の如き祟るもの』三津田信三

読んでる最中は、うーん、つらいなあ、もうやめたいなあ、と思うのだけれど、解決編の素晴らしさ、というかこれこそがミステリの醍醐味みたいな謎解きにやられた。こういうのやっぱいいよね!楽しかった!首無の如き祟るもの (ミステリー・リーグ)作者: 三津…

『人類は衰退しました』田中ロミオ

妖精さんちょうキュートですねー。かわいいー。すてきー。ぶんめいか?みたいなこのゆるさがたまらんのお話。なごみます。あたりだよ。人類は衰退しました (ガガガ文庫)作者: 田中ロミオ,山崎透出版社/メーカー: 小学館発売日: 2007/05/24メディア: 文庫購入…

『風の影』カルロス・ルイス・サフォン

間違いなくおもしろいとわかってる本って、なぜかすぐには読む気になれないものです。いやー、おもしろかったですよ。青春ゴシック小説+αって感じで。個人的にはもうちょっとビブリオマニアっぽさが欲しかったが(主人公は本よりも女の子が好きみたいだ)、…