なおきしょうをよそうします!

ぜんぶ読んだ!だから!こんな機会でもなけりゃ読むことのなかったであろう警察小説をふたつも読んでしまって大変だった……、おもしろかったけど……。
本命・桜庭一樹『私の男』、対抗・佐々木譲『警官の血』、大穴・古処誠二『敵影』でひとつお願いしたい。読む前と予想が変わってないんですが。結局無難な予想に逃げました。古処は願望です。受賞したらびっくりです。
『私の男』は、ぐいぐい大きくなっていく桜庭一樹の底力を見せ付けられた作品。しかし個人的にはもっともっと出来る子だと思うよ。『警官の血』は、ふだん読みつけない警察小説に何となく持っていた苦手意識を吹き飛ばすおもしろさ。特に下巻は一気読みでした。このミス1位は納得。『敵影』は素晴らしい作品でしたが、まあ難しいでしょうねー。しかし、直木賞養成ギブスをつけて書いたに違いない新刊『メフェナーボウンのつどう道』がすでに出てますから、次回こそはいけるんじゃないでしょうか。いってほしいです。まだ読んでないけど。(でも『私の男』が受賞しちゃうと、別冊文藝春秋直木賞というルートが続くことになり、何だかんだで避けられちゃう予感……)
馳星周『約束の地で』は、東北の閉塞した土地で暮らす人々を描いた連作短編集。悪くはないのですが、何しろ暗いし、他の作品に比べると食い足りない感があります。黒川博行『悪果』は、逆に食傷するほどの背脂系警察小説。もうおなかいっぱいです。井上荒野は、顔見せ候補かな。江國香織ライン(父親が著述業という共通点もあり)の手堅く恋愛小説を書く人という印象で、こゆーいのに飽きた審査員が流れる可能性もなきにしもあらずですが、質量ともにもうひとつかな、と。
そんなところで。もう片方はちょっと間に合うかどうか微妙なので、とりあえずこっちだけ予想してみました。