文芸誌11月号の陣。

新潮文學界すばる群像に加え、文藝冬号の非連載小説を読みました。以下内訳。


新潮11月号
絲山秋子エスケイプ/アブセント」
佐川光晴「二月」
吉田直美「ポータブル・パレード」

文學界11月号
木村紅美「海行き」
村上香住子「黒い鏡」

すばる11月号
吉原清隆「テーパー・シャンク」
岡崎祥久「日竹カンパニ」

群像11月号
清水博子「ヤング・ドーミン」
岡田睦「GIブルース」
加藤幸子「バッツィー」
中山智幸「次のレース」

文藝冬号
綿矢りさ「夢を与える」
荻世いをら「公園」
中山咲「ヘンリエッタ
山崎ナオコーラ「慧眼クアラルンプール」

いや今月も長かった。新潮すばる文藝では、新人賞受賞作が掲載されています。「ポータブル・パレード」「幻をなぐる」「テーパー・シャンク」「公園」「ヘンリエッタ」のうち、「幻をなぐる」はあまりにこてこての自意識が恥ずかしく読むのを諦めました(笙野頼子が推したと言えば雰囲気はわかるのでは)。読んだものでは、やはり今は文藝賞に勢いがあって、「公園」「ヘンリエッタ」共に十分に楽しめました。「公園」は、また暴力か、とは思うものの、そのペラさとご都合主義が欠点にならないのがえらいです。「ヘンリエッタ」は、梨木香歩が好きな人(特に『西の魔女が死んだ』あたり)ならはまりそう。それなりに達者。選評もあわせてどうぞ。
綿矢りさ芥川賞受賞後第1作「夢を与える」は、500枚という長編ですが、読み終わっても、りさたんたいへんだったんだね、としか思えないような作品。通過儀礼的。次回作に期待します。
仕事しすぎの絲山秋子エスケイプ/アブセント」は相変わらず笑えるおもしろさだし、岡崎祥久「日竹カンパニ」は個人的に好きな作家であることを抜きにしてももう少し読まれてもいいと思う。
それ以外では、文學界の特集「世界の文学賞はどうなっているか」を興味深く読みました。知らない名前がどばどば出てくるよー。
新人賞、綿矢りさ保坂和志高橋源一郎の対談、と読みどころの多い文藝冬号は買いです。季刊だから買いじゃないとまずいけど。
文藝 2006年 11月号 [雑誌]

文藝 2006年 11月号 [雑誌]

文学界 2006年 11月号 [雑誌]

文学界 2006年 11月号 [雑誌]

新潮 2006年 11月号 [雑誌]

新潮 2006年 11月号 [雑誌]

群像 2006年 11月号 [雑誌]

群像 2006年 11月号 [雑誌]

すばる 2006年 11月号 [雑誌]

すばる 2006年 11月号 [雑誌]