『エコノミカル・パレス』角田光代

著者曰く「経済小説」で、ああ、これは経済小説だなあ、と思った。経営破綻、とか、インサイダー取引、とか、大方の人にとっては遠い世界のおはなしなわけで、それよりはずっと、お好み焼きにエビを使いたいがどちらのスーパーで買うのがお徳であろうか、とか、年金の支払いが大変なり、とかのほうがずっと「経済」だ。消費者金融で借金しても、仕事を増やして返済しちゃうのが、角田光代の小説の人だ。わかりやすい転落も、大事件もないのが、せつない。

エコノミカル・パレス (講談社文庫)

エコノミカル・パレス (講談社文庫)