2006-06-14から1日間の記事一覧

『誰かのことを強く思ってみたかった』角田光代・佐内正史

佐内正史の写真を見ていると、「体験していないことを思い出す」感じがする。あ、ここ見たことある、と思うのだけれど、それはいつも一度も行ったことのない場所の写真なのだ。角田光代の文章は、写真に近づきすぎない距離を保っているのに、ある瞬間ふっと…

『エコノミカル・パレス』角田光代

著者曰く「経済小説」で、ああ、これは経済小説だなあ、と思った。経営破綻、とか、インサイダー取引、とか、大方の人にとっては遠い世界のおはなしなわけで、それよりはずっと、お好み焼きにエビを使いたいがどちらのスーパーで買うのがお徳であろうか、と…

『古本道場』角田光代・岡崎武志

古本の人岡崎武志に角田光代が弟子入りして、与えられた課題に沿って古本屋をめぐっていく、おそろしい1冊。何がおそろしいかというと、これを読んでいると古本屋に行きたくなることで、読みながら心の中で、古本屋に行かなくても読む本は部屋の中にいっぱい…