「いい子は家で」青木淳悟

冒頭部分を読むと、恋人になった女性との関係が描かれるのかと思い、しかしもう少し読むと、主人公が無職で実家暮らしであることが判明しそのへんから攻めていくのかと思い、さらに読むと、母親にスニーカーを洗われたりしているのでマザコンかと思い、さらに読むと、兄が会社を辞めて実家に戻ってきたりしているので兄弟の確執かと思い、さらに読むと、という具合にどんどん読みを外してこようとする家族小説でした。おもしろいけど終わりのほうで幻想小説みたいになっちゃうし、正直よくわかんないっす。
(新潮 2006年2月号所収)