『橋をわたる』伊島りすと

血を舐めることによって他人と繋がることができるひとの話。文章は端正で、書き方もくどくなく、かなり気に入りました。血を舐める、というのは主人公にとっては確かにコミュニケーションの方法なわけですが、そういう能力を持たない他人には理解されない。そう考えると特殊能力を持った人間のディスコミュニケーションの物語としても読めると思います。しかしこの趣向を生かしてもっとミステリ的な話が書けるんじゃないかとか思うのは、ミステリ読みの業ですね。て、いうか、語り手である「僕」が現在いるのは刑務所ですか精神病院ですか。そこがちょっとわかんなかったです。