『言壺』神林長平

読みました。神林ルーチンだとか神林脳だとか言われるように(後者が言われてるのかは知りませんが)、慣れないとえらく読みにくいことで有名な神林長平にしてはかなり読みやすい作品でした。言語と世界の認識をめぐる連作短編集。すいません最後の「碑文」がよくわからなかったんですが、あれは誰?あと表紙がすげー気持ち悪いです。生理的に嫌だ。それはともかく、書くことに対して意識的である人は読むとおもしろがれると思いますよ。

言壺 (中公文庫)

言壺 (中公文庫)

「全世界のデボラ」平山瑞穂

SFマガジンに載っているけれども、僕にはこれがSFだという感じはほとんどしなくて、いや別にSFじゃないからどうとか言うつもりはないですし、何故SFだという感じがしなかったのか、ということについて考えるつもりもありませんが、後半の展開にその鍵があるような気がします。と曖昧に終わる。何かに似ているようで、その何かが思い出せない。何にも似ていないのかも。
SFマガジン 2006年1月号所収)

「窓に吹く風」乙一

「『暗いところで待ち合わせ』と同じくらいおもしろかったですよ」と言われたので読みました。うん、おもしろかった。白乙一だった。主人公が女の子のせいか、ネガティヴとポジティヴのバランスがとれていて非常に読みやすい。個人的にはもっと心の澱を溜め込んだようなネガティヴ寄りの文章のほうが好きですけどね。
ファウスト Vol.6 SIDE-A所収)