2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『城』フランツ・カフカ

ところで、言うまでもないことですが、こんなにいろいろな食い違いがあるのは、べつにクラムが魔術を使っているからではなく、しごく当りまえのことなのです。つまり、彼を見た人の、そのときの瞬間的な気分や、興奮の程度や、期待あるいは絶望の無数の度合…

『紙魚家崩壊 九つの謎』北村薫

メタミステリを北村薫らしい雰囲気のある語りで読ませる、表題作「紙魚家崩壊」と「死と密室」の「両手が恋をしている女と探偵シリーズ」はこれだけで終わってはもったいない。もっと書いてほしいです。その他結構ばらばらな印象の作品が入っているので、好…

『回送電車』堀江敏幸

これでもなければ、それでもない、隙間を縫うような視点でありながら、決してせせこましくはない、穏やかで満ち足りた時の流れるようなエッセイ集。この人は世界の見え方がちょっと違うんだろうな。そういう「違う見方」がすんなりできる幸福な本でした。回…

『大誘拐』天藤真

MYSCONでおすすめいただいたもの。非常に成功率の低い犯罪である営利目的の誘拐をいかにうまくやるか、をエンタテインメントらしい荒唐無稽さとキャラ立ちで描いていて、大変おもしろかったです。天藤真の他の作品も読んでみたい。とりあえず、若竹七海が解…

『キス』西澤保彦

森奈津子シリーズの3作目、の短編集。うーん、『両性具有迷宮』読んだときも思ったけど、森奈津子本人の小説のほうがおもしろいんだよなあ……。まあでも、森奈津子よりおもしろかったらそれはそれで問題だからいいのか。森さんご結婚されたそうでちょっとびっ…

『ブラック・ベルベッド―菫咲くころ君を想う』須賀しのぶ

ハル過去と決別編。キリは影薄いし、ロキシーにいたってはいるんだかいないんだか。次は夏に流血女神伝が出るらしいですよ!ブラック・ベルベット―菫咲くころ君を想う (コバルト文庫)作者: 須賀しのぶ,梶原にき出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006/04メディ…