2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『迷路荘の惨劇』横溝正史

(『犬神家の一族』+『八つ墓村』+『悪魔が来りて笛を吹く』)÷4みたいな感じ。迷路荘の迷路っぽさがあんま生かされてなかった気がする。迷路荘の惨劇 金田一耕助ファイル 8 (角川文庫)作者: 横溝正史出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 1976/06/07メディア…

『漢方小説』中島たい子

ああなるほど。これはなかなか達者ですね。かっこよくはないけど、そう不幸でもない負け犬(って一般名詞化してます、よね?)の生活を、サービスのいい文章で書いていて、おもしろかったです。すぐ読めるし。漢方小説作者: 中島たい子出版社/メーカー: 集英…

『泣かない女はいない』長嶋有

長嶋有初めて読んでみました。あれ、「タンノイのエジンバラ」は読んだかな。読んだかも。泣かない女はいない、というタイトルから想定されるような暑苦しさはなくて、ゆっくりと抑えたテンポの話でした。一緒に収録されている「センスなし」が良かった。聖…

5月のまとめ。

34冊読了。このペースだと今年の読了冊数は300冊を少し超えたところに落ち着きそうです。限界。6月は『幽霊男』と『首』を読みます。あと乙一の『銃とチョコレート』がそろそろ出るはず。浦賀和宏の『上手なミステリの書き方教えます』はほんとうに出るんだ…

『クリスピー物語』

クリスピー物語のおまけに文庫本がついたもの。買おうと思っていたら全然売ってなくて、2%くらい残念な気持ちになったのですが、某氏から奪取して無事読みました。執筆者は、鈴木光司、大石圭、北野勇作、小林泰三、牧野修、森山東の6人。角川ホラー文庫臭…

『我輩はシャーロック・ホームズである』柳広司

夏目漱石がシャーロック・ホームズになっちゃった(神経症で)話。にわかに我輩ブームが。嘘です。柳広司は、基本バカミスなのに唐突に出てくるシリアスさを受け入れられるか否かが、好きになるかどうかの分かれ目だと思いました。僕は好きです。吾輩はシャ…

『本の音』堀江敏幸

目が悪い、という記述を発見して、何となく腑に落ちた気分。物理的に目が悪い人は、見え方が違っていたり、耳が発達したりで、世界の音を聞き分けるのがうまかったりするから。『本の音』というタイトルはぴったり。本の音作者: 堀江敏幸出版社/メーカー: 晶…

『卑弥呼』久世光彦

気になりつつも読んだことがなかった小説。「女性器の名称を決める」云々というのは、話のひとつにすぎなくて、メインはむしろ主人公のもどかしい恋愛なのですね。小説の話がいっぱいでてくる楽しい恋愛小説でした(ラストのぶっ飛び具合も含め)。卑弥呼 (…

『停電の夜に』ジュンパ・ラヒリ

評判が良いだけに後回しになってしまっていたのですが、堀江敏幸の『本の音』にこの本が出ていたので、これを機会に、と一気に読みました。評判が良いのもわかるというか、良い評判に負けない良い小説でした。「三番目で最後の大陸」がいちばん好き。停電の…

『かんたん短歌の作り方』枡野浩一

枡野浩一が、短歌の作り方を教える本、かと思ったら、南Q太と会って恋に落ちて結婚したことが書いてある本だった。その後の展開を知ってると切なくなりますね。じんせいって……。いや、短歌についてもいいことは書いてあります。自分が覚えられないような下ら…

『翻訳教室』柴田元幸

東大での翻訳の授業を活字にしたもの。こんな授業が受けられるなんていいなあ。実際に翻訳をする人にとってはもちろん、小説を書く人、小説を読む人すべてにとって有益な本です。翻訳教室作者: 柴田元幸出版社/メーカー: 新書館発売日: 2006/02/01メディア: …

『バレンタイン』柴田元幸

翻訳家の名前で本が売れる希少な人気翻訳家柴田元幸が、初めての小説集を出した、というだけでもうドキドキしますね。青山ブックセンターのトークイベント会場で先行販売していたので、はいはい!買います!て感じで買ってしまいました。エッセイを読んでい…

『アクロバット前夜』福永信

どこかでこの本を見かけたら、とりあえず、騙されたと思って、とりあえず、開いてみてほしい。開いて、読み始めれば、すぐにわかるはずだ。この本のアクロバティックさが。この本が出た5年前、僕は一体何をしていたんだ。こんな本を見逃していたなんて、今ま…

『早稲田古本屋日録』向井透史

早稲田の古本屋の二代目が書いたエッセイとか日記とか。向井透史さん、はてなダイアリーやってらっしゃいますね。古本屋らしいゆるゆるした日常ですが、仕事を始めたばかりの頃の、文章から身の置き所のなさがにじみでてくるような感じが、去年の日記になる…

『ALICE』ラーメンズ

DVD

バニー部!バニー部!仕事してると隣のCD屋から『ALICE』の宣伝の音が聞こえてきて、それがバニー部でバニーネーム大吟醸が歌う部分なのでどうしても笑ってしまいます。やめてください。「バニー部」を別にすれば、「モーフィング」と「不思議の国のニポン」…

『うまい犯罪、しゃれた殺人』ヘンリイ・スレッサー

うん、おもしろかった。おいしいコーヒーみたいな短編集だ。うまい犯罪、しゃれた殺人 〈クラシック・セレクション〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: ヘンリイ・スレッサー,高橋泰邦他出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2004/08/25メディア: 文庫購入: 1人 …

『陰日向に咲く』劇団ひとり

期待せずに読み始めて、冒頭部分の文章のつたなさに、やっぱりだめなのか……?と思ったけど、そんなことなかったです。予想したよりは全然良い出来でした。劇団ひとりのだめにんげんを鬱陶しく語る雰囲気が嫌じゃなければ、ミステリ系のひとにはふつうにおす…

『風味絶佳』山田詠美

決して力んでいない、まるで呼吸をするのと同じように文章から滲み出してくる「うまさ」が、まさに風味絶佳、というか、これはあれだ、おいしい食事と同じように体に取り入れるのが良いのでしょうね。滋味、という言葉がぴったりくる感じ。僕はまだジャンク…

『書物の運命』池内恵

20代で大佛次郎論壇賞を受賞した気鋭のアラブ学者。読書家にとっては池内紀の息子、と言ったほうが通りがいいかもしれない。ノンフィクションの書評を中心に本についての文章を集めたこの本では、歪みのないバランス感覚と、シンプルで読みやすい文章、さり…

『終末のフール』伊坂幸太郎

最近の伊坂幸太郎の小説の中ではいちばんおもしろかった。3年後に地球に隕石が衝突する世界で暮らす人々を描いた連作短編集。まあいろいろ、どうなの?と思うところはあるんですが(インフラはどうなってるの?)、読んでる間、ふっと自分も同じ世界に、3年…

『夜歩く』横溝正史

横溝をいくつか読んで、ひしひしと感じるんですけど、ある種の完成形であるというか、隙なく決まっているので、これを超えるのは難しいのだろうな、と。やっぱりすごいですよ。夜歩く (角川文庫)作者: 横溝正史出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリ…

『古道具 中野商店』川上弘美

アンティークでも骨董でもなく、古道具。妙に女にモテる店主と、その芸術家の姉。小指の先のない男の子。もう何もかもが川上弘美。やばい、川上弘美怖い。古道具 中野商店作者: 川上弘美出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/04/01メディア: 単行本購入: 1人…

『トーキョー・プリズン』柳広司

終戦直後の東京とスガモ・プリズンを舞台にしたミステリで、歴史と実在の人物を微妙にからめる柳広司おなじみの設定。戦争中の記憶を失ったキジマという探偵役(戦犯なので拘留されている)が良いですね。謎解きがしょぼかったり、あーやっぱりそこにいくの…

『陽気なギャングの日常と襲撃』伊坂幸太郎

日常パートのほうが好きです。というか、あれですね、地球を回すの内容をまったく全然これっぽっちも覚えていなかった(登場人物は映画版のCMを見てちょっと知ってる)自分にびっくりというか。伊坂は伏線をきれいに使うので、慣れると、はいはいこれあとで…

『εに誓って』森博嗣

心が弱っているせいか、「εに誓って」の人たちの独白にやられてしまった。珍しくいい話だったような気がします。追っている人はすぐ買って読みましょう(じゃないと永遠に読まないから)。それ以外の人はスルーして結構。あのシリーズとのリンクがちょっとず…

『念力図鑑』笹公人

信長の愛用の茶器壊したるほどのピンチと言えばわかるか 念力図鑑作者: 笹公人出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2005/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (20件) を見る

『一階でも二階でもない夜 回送電車Ⅱ』堀江敏幸

じぶんのやり方をそのまま相手に投げつければいいと勘違いしている人間が、あまりにも多すぎるのだ。胸のうちを他者に伝える作業は、じつはとても複雑で、微妙で、時間を要するものである。ひりひりした緊張感をともなう思いやり。そんな心の変換装置があっ…

『あるきかたがただしくない』枡野浩一

離婚した元妻が行方知れずになって月1回は面会の時間があるはずだった4歳になる息子に会えない、ということを1年間延々と書き続けた連載等をまとめたエッセイ集。こんなやり方はすごく生きづらそうだ。どうしようもないんだろうけど。最初は息子に全然会えな…

『ポケットから出てきたミステリー』カレル・チャペック

口語体で書かれたごく短い、ミステリーというよりは小話がいっぱい入っている本。サボテンやら絨毯やらが登場するわりとぬるめの序盤はまったり読んでいたのですが、中盤から後半にかけては、軽い口当たりでありながら、読後に重さが残る作品もあり、うぐぐ…

『GOSICKsⅡ 夏から遠ざかる列車』桜庭一樹

久城瑠璃、かわいいなあ……。瑠璃さんの話がもっと読みたいですよ。次のGOSICKはベルゼブブの頭蓋から抜け出したふたりが列車の中で事件に、ってことでオリエント急行?オリエント急行やっちゃうの?何だかんだ言ってこのシリーズ結構楽しみにしてます。さく…