2006-08-21から1日間の記事一覧

『遮断』古処誠二

直木賞2回ノミネートですっかり戦争物の人となった感のある古処せんせい。最初は自衛隊の人だったと思うんですが……。沖縄戦を舞台にしたこの作品も、自分に酔うことのない冷静な筆致で読ませます。非常におもしろかった。しかし、それゆえにある種の怖さを感…

『東京バンドワゴン』小路幸也

うーん、ぬるいな……。もちろんこれは「ホームドラマ」を目指して書かれたもので、このぬるさも計算のうち、なんでしょうけれども。都内の下町にある古本屋兼カフェを営む一家が、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、謎ときっぽいことをしてみたり。古本屋と…

『悪魔の手毬唄』横溝正史

自分がしでかした不始末がみんなに知れ渡っちゃうような田舎にはやっぱり住めないなと思いました。登場人物が多すぎるきらいはありますが(泰子と文子の区別がつかねえ)、いきなり切なさに落とし込むラストは結構好き。悪魔の手毬唄 (角川文庫)作者: 横溝正…

『三つ首塔』横溝正史

昼ドラもかくやのメロドラマ+怪奇ドラマが展開されるちょっと毛色の変わった作品。金田一耕介はほとんど出てこないし。主人公にして語り手の音禰ってやつが若干ムカつく娘さんなんですが(何かって言うとすぐキスして、まったく危機感が感じられないのです…