2006-07-14から1日間の記事一覧

『小説の読み書き』佐藤正午

佐藤正午が文豪の小説を小説家の視線で読み、その書かれ方を探る本。ひとつひとつにさかれるページ数は多くないものの、その分焦点が決まっているので、ぱきぱき読むことができます。佐藤正午の独特の誠実さを持った文章と、本を読む本が好きな自分にとって…

『首鳴り姫』岡崎祥久

初めての恋をして、それを全うするまでの、静かな物語。恋愛しても、泣いたりわめいたりするわけじゃないけれど、確かにこころのなかでは嵐が吹き荒れ、生活は翻弄され、枯葉のように舞い踊り空を飛び、終わりを予感している。主人公ふたりの潔癖さと不器用…

『音速平和』水無田気流

第11回中原中也賞受賞作。詩を読むのは久しぶり。現代詩の詩集を読むのはもしかして初めてかも。行きつ戻りつして読みながら、ああ詩の言葉は音とかたちなのだ、と思った。いや、すべての言葉は音とかたちなのだけれど。鉱物の放つ光のような言葉。意味より…