『蝦蟇倉市事件 2』

米澤穂信は良かったんだが、ただでさえまとまりのない中、断トツで浮いている。

『吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日』森光子

親の借金の形に吉原に売られ、そこを脱出するまでの花魁の手記。大正時代のリアルですよこれ。鋭い観察眼と意志の強さを持った類い稀な人物だったからこそ、逃げ出すことができたんだろうなあ。

吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)

吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)

『逆に14歳』前田司郎

老人じゃない人が書いた老人小説は嘘っぽくなりがちなんだけど、老人じゃない自分が読んで老人的リアルさが感じられるのはやっぱり身体性が織り込まれてるからなのかなあと思う。演劇の人の小説を読むといつも身体性という言葉を思い浮かべてしまう。思考することを含めての身体。

逆に14歳

逆に14歳

『だから人は本を読む』福原義春

著者は資生堂名誉会長。本の本というとどうしても出版業界周辺にいる人のものが多いので、その点この本は新鮮。古典から新しい小説まで、読書の幅も広い。どうせ論語とかすすめちゃうんでしょ、と斜めから読み始めたが、なかなかどうして、ブックガイドとしても参考になります。

だから人は本を読む

だから人は本を読む

『今宵も酒場部』牧野伊三夫 鴨井岳

ロックフィッシュに行ってみたい。

今宵も酒場部 飲んで描いたおとなの部活動報告

今宵も酒場部 飲んで描いたおとなの部活動報告

『女中譚』中島京子

中島京子の十八番ともいうべき、トリビュート小説。やはりうまい。

女中譚

女中譚

『ぜんぜんたいへんじゃないです。』朝倉かすみ

いい意味で、若いひとだなあ、と思う。物事に対する姿勢がすれてなくて、何だか毎日楽しそう。ぜんぜんたいへんじゃないです、とつぶやいているちっちゃい朝倉さんを想像するとなごみます。

ぜんぜんたいへんじゃないです。

ぜんぜんたいへんじゃないです。