『吉原手引草』松井今朝子

タイミングよく手元にあったので、いそいそと読んでみた次第。先日読んだ『花宵道中』よりも、高級な廓の話、かな。吉原で起こった事件をおっていくつもりで読んでいると、ちょっとした吉原ガイドにもなっているという、お得な物語。聞き書き形式で、とにかく語りがうまい。するすると読まされてしまいます。いや、おもしろかった。何が起こったのか、ということ自体も徐々に明らかになっていくので、おもしろそうだな、と思ったら、余計な情報を仕入れずにいきなり飛び込むのが吉です。
しかし、何か読み落としてるのかもしれないという思いが消えないんですが。そんなトリッキーな作品ではないですよね?ああ、何もかもを疑ってかかる自分の中のミステリ者が恨めしい。

吉原手引草

吉原手引草