『蕭々館日録』久世光彦

表紙の麗子像にちなんで名づけられた麗子は文士の娘。5歳の女の子が語り手となってつづられる、昭和のはじめの物語。芥川龍之介菊池寛小島政二郎をモデルにしていて、麗子の父親は小島政二郎をモデルにした児島蕭々という人物であるわけですが、芥川龍之介の圧倒的な才能とカリスマ、菊池寛の人気作家ぶりに対して、自身の父親の名前が残らないことを知っている麗子の言葉が悲しかった。

蕭々館日録 (中公文庫)

蕭々館日録 (中公文庫)