『青猫家族輾転録』伊井直行

新聞や雑誌の評で昨年のベストにあげている人が何人かいて、手にとってみました。読み始めてすぐ、おお、これは読んだことがある!と気づきました。新潮掲載時に読んでましたよ。それとは「違う作品」であるらしいのですが。主人公が50歳を過ぎていまだに「僕」という一人称を使うあたりから話は始まり、ずっと前に死んだ叔父の話と、現在進行形の家庭の事情が交互に語られていきます。叔父さんの話は、どこのムラカミハルキか、という感じで(五反田君や『スプートニクの恋人』を何となく思い出す)、いや、そういうのは好きなのでいいのですが、どうにもむずがゆい気持ちになるのは抑えられない。
ぼくたちはいつになったらおとなになれるのでしょうか?

青猫家族輾転録

青猫家族輾転録