『ブラバン』津原泰水

津原泰水最新作は、20年前の吹奏楽部を舞台にした青春群像小説。スウィング・ガールズみたいに、寄せ集めのブラバンがうまくいくのかと思ったらそうでもなく、20年経った現在から語られるのは、時間は流れること、人は変わりまた変わらないということ、音楽は素晴らしいということ。時折はさまれるさりげない台詞の美しさにやられました。泣いたシーンは片手では足りないですが、ベースを買うシーンと、ラストシーンは反則の切なさ。本屋大賞に是非。

ブラバン

ブラバン

『目には見えない何か』パトリシア・ハイスミス

嫌な予感で塗り潰された、はりつめた文章でつづられる短編集。サスペンスでミステリで、というよりも、素晴らしく小説。「生まれながらの失敗者」は傑作。落涙必至です。関係ないけど最近自分の涙もろさがおそろしい。

目には見えない何か

目には見えない何か

『ジャストボイルド・オ’クロック』うえお久光

あれ、うえお久光の新シリーズ……?
最早望むことはひとつだけ、それはちゃんと終わらせてくれること。というか、ライトノベルが本業の人の仕事は、シリーズをきっちり終わらせることです!放りっぱなしのあれとかあれとかどうなってんのさー、って読者がやきもきするのは間違ってます。というのはともかくとして、今後の展開に期待の作品でした。まあ、悪魔のミカタも滑り出しはこんなものだった気がするし。

『迷宮レストラン』河合真理

河童の河太郎からガウディまで、歴史上の人物(ということにしておきたい)を招いてもてなす、読むレシピ本。まず驚くのは、綿密に調査して組み上げられたメニュー。その時代にあった食材を使うのはもちろん、本人が好んだもの、旅した地のもの、河童に至ってはお箸が使いにくかろうと手で食べられるものを用意する心遣い。さらに、料理の写真が美しく、眺めているだけで溜め息。ガウディのための料理なんてまさにアート。贅沢な1冊です。

迷宮レストラン―クレオパトラから樋口一葉まで

迷宮レストラン―クレオパトラから樋口一葉まで

『福家警部補の挨拶』大倉崇裕

倒叙ミステリの短編集。というかコロンボ。いやいや、福家警部補登場シーンで結構びっくりしましたよ。個人的に倒叙ものの追い詰められ感がドキドキしちゃってだめなのですが、このくらいの分量なら大丈夫。次回作(があれば)では、福家警部補は是非萌えキャラにしていただきたい。

福家警部補の挨拶 (創元クライム・クラブ)

福家警部補の挨拶 (創元クライム・クラブ)

『シャルビューク夫人の肖像』ジェフリー・フォード

読了。

シャルビューク夫人の肖像

シャルビューク夫人の肖像

『空に浮かぶ子供』ジョナサン・キャロル

読了。

『君へ。』

読了。