『この本が、世界に存在することに』角田光代

素晴らしかった。
それはともかくとして、最初に読んだときはよくわからなくても、何年か経ってもう一度読むとわかることがある、あるいは、年を経て読み方が変わることがある、というようなことが書いてあるけれども、僕はひたすら、手遅れだったらどうしよう、今の時点で既に遅かったらどうしたらいいのだろう、と考えてしまう。「初めて読んだときのよくわからない体験」こそが重要なのではないか、それが「何かがわかるようになった」ときの目印になるのではないか、ということなのですが。最近はそんなことばかり考えてびくびくしています。10代の頃に思っていたよりも自分の持ち時間が少ないことに驚きを禁じえないのです。