『一階でも二階でもない夜 回送電車Ⅱ』堀江敏幸

じぶんのやり方をそのまま相手に投げつければいいと勘違いしている人間が、あまりにも多すぎるのだ。胸のうちを他者に伝える作業は、じつはとても複雑で、微妙で、時間を要するものである。ひりひりした緊張感をともなう思いやり。そんな心の変換装置があってこそ、言葉は生きる。

一階でも二階でもない夜―回送電車〈2〉

一階でも二階でもない夜―回送電車〈2〉