『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル

読み途中。だけどたぶん1回じゃ言いたいことがまとまらないだろうと思うので、雑感を書き留めておきます。
ナチス支配下で実際に強制収容所にいた心理学者の書いた本。僕は基本的にフィクション以外では泣かない。ドキュメンタリーや、人の話や、そういうものでは泣かない。それは、自分以外の誰かが経験したこと(特にマイナスの出来事)を自分が理解できるように形を変えるのはとても傲慢なことである、という思いがあるから。人の感情を決め付けてしまう、ということにとても抵抗があるから。泣く=悲しいことである、と決めてしまうのは失礼な気がするから。だから、この本を読んでいるときも、泣かなかった。でも、本を閉じて、道を歩いているときに、胸が押しつぶされそうな悲しみを感じた。収容所にいる人々が、死の一歩手前の体をひきずって夕日を見にいき、「世界はどうしてこんなに美しいんだ!」と言うシーンがある。僕はその感情を知っている。世界の美しさに救われることを、僕は自分自身のこととして知っている。これはきっと、収容所にいる人のことを書いた本というだけではなく、人間のことを書いた本なんだ。突き刺さる。