2006-07-31から1日間の記事一覧

『タイタンの妖女』カート・ヴォネガット

「『タイタンの妖女』占い」だと、僕はサロです。これは不合理なものに翻弄される人々を描いた作品だと、僕は思うのですけれど、その不合理さを受け入れたら僕はきっと別のものまで手放してしまうから、おもしろかった、でもこれで良いとは思わない、と言う…

『ラブシーンの言葉』荒川洋治

荒川洋治が官能小説やらその周辺やらを淡々と読む、外で開くのはちょっとためらわれる1冊。どんなふうに書かれようとも、結局のところ行為はひとつなわけで、隘路からすくいだされた言葉は、真剣で、それゆえに滑稽だ。ラブシーンの言葉作者: 荒川洋治出版社…

『夕子ちゃんの近道』長嶋有

古道具屋が舞台、ってことで若干自伝的なものを予想していたのですが、そうでもなく。むしろ古道具屋っぽさは薄めてあるかもしれない。読んでいて心地がいい小説。夕子ちゃんの近道作者: 長嶋有出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/04/27メディア: 単行本 …

『爆笑問題の「文学のススメ」』爆笑問題

文学のススメという番組があって云々、しかしこの本のいちばんおもしろいところは、爆笑問題と児玉清の対談ですよ。穏やかかつ的確に話を引き出していく児玉清の話術に魅せられました。爆笑問題の「文学のススメ」 (新潮文庫)作者: 爆笑問題出版社/メーカー:…

『の仕事』仲俣暁生

恩田陸が自分のことを「眼高手低」と言っていて、どれだけ目が肥えてるんだこの人は、と思いました。と同時に、なるほどねえ、とも思いました。“ことば”の仕事作者: 仲俣暁生,大野純一出版社/メーカー: 原書房発売日: 2006/05/01メディア: 単行本購入: 1人 …

『古道具ニコニコ堂です』長嶋康郎

古道具屋を始めてしまうような「濃さ」を持った人が何となく苦手なのだが、文章のすきまから出てくるその「濃さ」にちらりと触れるのは楽しい。いわゆる美しさや自然体を意識したような感じではなくて、もっとクネクネした印象。やっぱり実際には会いたくな…

『猫島ハウスの騒動』若竹七海

若竹七海久々の新刊は葉崎もの、の番外編?江ノ島みたいな猫島を舞台に人や猫やが入り乱れること島の如し。ねこねこねこ。夏にぴったりのさくっと読めるミステリでした。猫島ハウスの騒動 (カッパ・ノベルス)作者: 若竹七海出版社/メーカー: 光文社発売日: 2…

『歌うダイアモンド』ヘレン・マクロイ

ミステリの短編集だと思って読み始めたら、SFもあった。ミステリとしてオチをつけているものより、SFといえばSFみたいなちょっと不思議なやつのほうが好みかな。世界の終わりをシンプルに描いた「風のない場所」は、そのシンプルさゆえに胸を打つ。異文化コ…

『首』横溝正史

道具立ては猟奇なんだけど、書き方があっさりしてるのが勝因なのかなあ、何かの。首 (角川文庫)作者: 横溝正史出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 1976/10/29メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (18件)…

『本棚探偵の冒険』喜国雅彦

古本系の人の文章を読むたびに、この道にだけは落ちるまいと固く決意するのであります。すごく楽しそうだけど、下手したら買う時間のほうが読む時間より長いですよこういう人たちは。ああでも、僕も「読むためではない」本を買ったことがあるからなあ……、人…

『傾いた世界』筒井康隆

そろそろ筒井の長編に挑戦する頃合かと思う。傾いた世界 自選ドタバタ傑作集2 (新潮文庫)作者: 筒井康隆出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2002/10/30メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 112回この商品を含むブログ (24件) を見る

『アイの物語』山本弘

物語の力、について。ひとつひとつの話はありきたりな感じもするのだけれど、それが最後にまとめられていくのが感動的。懐疑的になりつつも感動的。アイの物語作者: 山本弘,李夏紀出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/05/31メディア: 単行本購入: 9人 ク…

7月のまとめ。

25冊27冊。今月は読んだ本より買った本が多かったです。おそろしい子。8月は「無闇に図書館で本を借りない」を標語にがんばります。夏らしい本を読みたい、とか考えずに、目の前にある本をただ読みます。あとまじめに感想を書きます。