2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『フィッシュストーリー』伊坂幸太郎

最近の伊坂の中では悪くない感じだったけど、あの作品のあの人が、みたいなことはまったくわかりませんでした。熱心なファンならより楽しめるのかも。正直もう内容が思い出せない僕のような鳥頭には不向き。フィッシュストーリー作者: 伊坂幸太郎出版社/メー…

『密室殺人ゲーム王手飛車取り』歌野晶午

時々、人を人とも思わないようなミステリを読むと心が休まります。やっぱこうでなくちゃ。密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社ノベルス)作者: 歌野晶午出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/01/12メディア: 新書購入: 1人 クリック: 30回この商品を含むブロ…

『イヴの夜』小川勝己

小川勝己が純愛に! いや、今までだってある意味純愛だったわけですけれども。どうしてもうまく生きられない、なぜか人生がやばい方向に行ってしまう(自業自得だ)人の話。新堂冬樹における『忘れ雪』的作品ですか。たぶん。適当です。小川勝己はそのままで…

『買えない味』平松洋子

買えない味、あるよね。特に自分、しけたもの、ふやけたもの、大好きなので。カールとかスコーンとか、しけたほうがおいしいし、ミネストローネは1晩寝かせて伸びきったショートパスタを食べるのがさいこうだし、鍋の〆に入れたうどんをわざとちょっと残して…

『恐怖の兜』ヴィクトール・ペレーヴィン

こんなの書く人がベストセラー作家ってどんな国なんだロシア。全編チャット形式で、読みやすいのですが、読みやすいのにちっとも意味がわかりません。恐怖の兜のかたちとか真剣に考えちゃったよ。恐怖の兜 (新・世界の神話)作者: ヴィクトルペレーヴィン,Vic…

『激走 福岡国際マラソン―42.195キロの謎』鳥飼否宇

この頭悪そうなタイトル、たまんないですねー!完全なイロモノと思わせておいて、意外とちゃんとミステリしてるいつもの鳥飼否宇でした(バカミス系の人に対する「いつもの」というのは褒め言葉だと思う)。マラソンとミステリが好きな人は是非。どれくらい…

『新・ちくま文学の森 人情ばなし』

人情、という言葉から想像されるようなわかりやすいものばかりではなく、もっと微妙な機微を描いた作品もあり、そういうもののほうが引っ掛かりがあるだけに心に残りました。ベタな人情は苦手ですし。人情ばなし (新・ちくま文学の森)作者: 鶴見俊輔出版社/…

『最後の注文』グレアム・スウィフト

1996年のブッカー賞受賞作。じじいの友情ものかと思って読み始めたら、徐々に様々な事実が明らかになり、ほぐれるような、もつれるような、不思議な感触の小説でした。生きてるといろいろあるよね。最後の注文 (新潮クレスト・ブックス)作者: グレアム・スウ…

『テヘランでロリータを読む』アーザル・ナフィーシー

テヘランでロリータを読む、その実際の読書会部分はあまり書かれていなくて(おそらく踏み込んで書くと問題があることもあるのだろうと想像するのだけれど)、一方通行の言葉しか語れない若者を相手に英米文学を教えたり、抑圧の中で小説を読むということが…

『読書会』山田正紀・恩田陸

我ながら驚くほどSFの教養がないので(まあそれ以外の分野もないですけど……)、言及される本は8割方「初めて聞きましたよ!」だったのですが、それでも読んでて楽しかった。本を読むのは楽しいし、読んだ本について実際に誰かと話すのも楽しいことです。読書…

『車掌』『課長』穂村弘・寺田克也

言葉に絵を付けた『車掌』と、絵に言葉を付けた『課長』。成り立ちに納得しながら、もう少し先を見たい、と思う。絵も言葉も、好きなのだけれど。車掌作者: 穂村弘,寺田克也出版社/メーカー: ヒヨコ舎発売日: 2003/04/01メディア: 単行本 クリック: 17回この…

『逃亡くそたわけ』絲山秋子

良い小説家は、目が良いか、耳が良いか、その両方か、で、絲山秋子は耳の良い小説家だと思います。それにしても、精神病/精神病院が出てくる話って、「入れてもらえない」感じがする。逃亡くそたわけ作者: 絲山秋子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 200…

『真鶴』川上弘美

ああ、川上弘美はほんとうに極まっていくなあ。死にふれそうでふれない、その書き方も、このへんが頂点なのではないかと思ったり。真鶴作者: 川上弘美出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/10/30メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 25回この商品を含むブ…

『夏の魔法』北國浩二

評判からしてどんなイヤな話なのかとワクワクしながら読んだんですけど、読んだあとに舌の奥がざらざらするような、苦虫を噛み潰したらこんなんじゃ?というような話でした。自分が好きなイヤな話からはちょっとずれてた。難病純愛モノですよー、ってすすめ…

『世界の中心、針山さん 2』成田良悟

1巻のがおもしろかた。かたかた。ちょうつよい雑魚戦闘員の話が良いですね。世界の中心、針山さん〈2〉 (電撃文庫)作者: 成田良悟,エナミカツミ,ヤスダスズヒト出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2007/02/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 16回…

『悪魔のミカタ666』うえお久光

うほー、ちょうひさしぶりですね!正直何の話だったか忘れてましたけど大丈夫!何かやるやらないの甘酸っぱい話になってて、余計混乱しましたけど大丈夫!1巻から読み返そうかしら……。悪魔のミカタ666―スコルピオン・オープニング (電撃文庫)作者: うえお久…

『文学少女と“繋がれた愚者”』野村美月

中学生ががんばって書きましたみたいな感じで、小説としては決してうまいとは思えないんだけど、好きで書いてるのがわかって微笑ましい。シリーズとしての引きも出てきたので、これから。“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)作者: 野村美月,竹岡美穂出…

『狼と香辛料Ⅳ』支倉凍砂

いつもどおり。狼と香辛料 (4) (電撃文庫)作者: 支倉凍砂,文倉十出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス発売日: 2007/02/10メディア: ペーパーバック購入: 5人 クリック: 75回この商品を含むブログ (259件) を見る

『極上掌篇小説』

どのへんが「極上」なのかと聞きたくなるような作品もないではないですが、まあどれもこれも素晴らしくては、読むほうも力んでしまいますからね、このへんのバランスがらくちんで良いのでしょう。キレやオチもあってもなくてもいいのですよ。極上掌篇小説作…

『わが身世にふる、じじわかし』芦原すなお

「じじわかし」って何なんだろう……、と思っていたら、そういうことなのか……。この全体に漂う脱力感、どうでもよさ、ほんとに何にも考えなくて済むので、癒されます。ごはんおいしそうだし。ごはんがおいしそうなら、事件なんてどうでもいいのですよ。わが身…

『クワイエットルームにようこそ』松尾スズキ

精神病院に入って云々は抜きにして、抜きにできないけど、でもこんな人、病院の外にもいるし、病院の外でも起こることだと思った。何かあれです、この話だと主人公の同棲相手の鉄ちゃんみたいな人がいちばん苦手です。あと、『クワイエットルームにようこそ…

『流血女神伝 喪の女王5』須賀しのぶ

怒涛の展開に向けて静かに盛り上がり中。あのラストはどうなんだ!やっぱり続きが気になるぞ!今いちばん安心してハラハラできる物語ではなかろーか。喪の女王 5 流血女神伝 (流血女神伝シリーズ) (コバルト文庫)作者: 須賀しのぶ,船戸明里出版社/メーカー: …

『少年検閲官』北山猛邦

がんばれクリス ミステリ・フロンティアだからって、北山が変わると思っちゃだめだ!読む前に自分が何を思っていたのかよくわかりませんが、ありえない世界設定で、ええええー!という物理トリックを繰り出すいつもの北山で安心しましたよ。これが気に入った…

『沼地のある森を抜けて』梨木香歩

すごい変な話だった……。梨木香歩というと、児童文学系のイメージが強かったのだけれど、これは違う。ぜんぜん。ぬか床が主役をはる、世にも奇妙な幻想小説。ふっと話に置いていかれそうになるのに、気がつくといつのまにか真後ろにいるような感じ。個人的に…

『5』佐藤正午

堪能した。佐藤正午の物事を斜め後ろから見るようなところがよく出た作品だと思う。 主人公は小説家で、現在までに2回業界から干されており、2回業界に戻ってきて、2回離婚して、若い女の子と付き合っていて、さらに人妻と不倫し、さらに出会い系サイトで片…

『気になる部分』岸本佐知子

ああ何て生きにくそうな人、と思ってしまうほどのあふれる妄想、暴走する思考。笑いながら読んでましたが、少し切なくなりました。表紙の口をへの字にしてる女の子のイメージがぴったり。気になる部分 (白水uブックス)作者: 岸本佐知子出版社/メーカー: 白水…

『薄闇シルエット』角田光代

ああ、角田光代もなんか「こわい」作家になりつつあるなあ。自分にとって「こわい」のは、江國香織とか川上弘美とかで、それは好き嫌いとは全然関係が無いのですが、読んでると「こわい」。リアルであるなしの問題でもなく、うーん、なんなんだろうな……。薄…

『長めのいい部屋』フジモトマサル

キュートでアイロニカル、疲れているときに眺めるとほんのり楽しい気持ちになれます。長めのいい部屋 (中公文庫―てのひら絵本)作者: フジモトマサル出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2005/05/26メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 12回この商品を含むブ…