2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『一千一秒の日々』島本理生

だんだん島本理生好きになってきたかもよ。この等身大感が演出されたものならすごいと思う。もっとうまくなってほしいけど。一千一秒の日々作者: 島本理生出版社/メーカー: マガジンハウス発売日: 2005/06/16メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商…

『センセイの書斎』内澤旬子

いろんなセンセイの書斎をイラストと文章で渡り歩いていく本。書斎。憧れるけど、自分は生活空間と本のある場所がほぼイコールでないと落ち着かないかも。本読むのは仕事じゃないし。本の整理の仕方も人それぞれで、まったく整理していない人もいたりして、…

『いろんな気持ちが本当の気持ち』長嶋有

長嶋有のエッセイ集。近頃の男性作家はみんなだめっぽい感じを売りにしている気がする。まあ、おもしろいのでいいのですけど。いろんな気持ちが本当の気持ち作者: 長嶋有出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/07/26メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: …

『読書癖 1』池澤夏樹

こういう大人になりたいなあ、と思っている。20年後も本を読む人でありたいものだ。読書癖〈1〉作者: 池澤夏樹出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1991/01メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (5件) を見る

『装幀=菊地信義の本』

あれもこれも菊地信義の本だったのか。講談社文芸文庫もこの人。本の外側だけを見るのは不思議な感じだ。でも、装丁家の仕事は、本の外側の写真を見るだけではわからないのだろうと思う。装幀=菊地信義の本 1988~1996作者: 菊地信義出版社/メーカー: 講談社…

『シフトⅡ―世界はクリアを待っている―』うえお久光

これ、電撃文庫でいいと思うのだが。絵付きで見たいし、中身も電撃文庫的に正しくおもしろいし。悪魔のミカタが、とかは言わないので。シフト〈2〉世界はクリアを待っている作者: うえお久光出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2006/06メディア: 単行…

『アイソパラメトリック』森博嗣

一定期間森を摂取していないと、体が勝手に、森……森……、と探し求めるようにできております。そういうときは小説じゃなくて、ポエムとかエッセイとかを読むのがいいみたいです。アイソパラメトリック (講談社文庫)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 講談社発売日:…

『フラッタ・リンツ・ライフ』森博嗣

なにか、無理に愛情愛情って……、それがとんでもなく貴重で美しいものだって、それよりも大事なものはこの世にないって、最終的にはすべてそれが人を救うのだって、そう思い込もうとしているみたいだ。愛情という名の神様を信仰している宗教なのだ、と僕には…

『太陽の塔』森見登美彦

文庫化したので購入して再読。2回読んでもおもしろかった。モテるとかモテないとかそういうことはさておき、やはりここはほとんど描写のない水尾さんの愛らしさに思いを馳せるべきでしょう。解説を本上まなみが書いているのはその点でマイナスです。太陽の塔…

『彼女は長い間猫に話しかけた』川崎徹

表題作他2編を収めた短編集。タイトルと装丁から想像されるようなファンシーな話ではなく、どれも明らかに変、というか、日常の外のことで、それがとても静かな文章でつづられているので、ぼんやりと読んでいると、簡単にどこかへ連れていかれてしまう。彼女…

6月のまとめ。

35冊読了。『首』読めなかったな……。7月は、図書館で本を借りるのを控えて、積読を減らす方向で善処します。何とか。それ以前に、何を積んでいるのかを明らかにしなきゃいけないんですが。ああ道は遠いよ。

『向日葵の咲かない夏』道尾秀介

特に期待していなかったので、案外楽しめました。まずいところがないわけじゃない、というかいろいろあるんだけど、それでもそれなりに読ませる。誰もが物語の中に生きているのですよね。ひとつだけアンフェアなんじゃないかと思うことがあるのですが、まあ…

『幽霊男』横溝正史

もっと壮大に、バーン!と話が広がるのかと思ったら、意外とちまちましたところでまとまってた。幽霊男 (角川文庫―金田一耕助ファイル)作者: 横溝正史出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1974/05/01メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (20件) …

『いつも旅のなか』角田光代

角田光代は予想外に行動派の人だなあ。世の中には2種類の人間がいる、などと乱暴なことを言うつもりはありませんが、それでも「旅する人」と「旅しない人」がいるのは事実であるように思います。圧倒的に「旅しない人」かつ「移動しない人」である自分は、家…

『Sweet Blue Age』

角田光代と森見登美彦が好み。というかもともと好きな作家なので好みもくそもないですけど。森見登美彦は全体から浮いていてそれがまた良い。好きですよ僕は。有川浩は『海の底』のキャラクターを使って書いているのだが、いや、この人の少女漫画っぷりには…

『沖で待つ』絲山秋子

読んでる最中に、あれ?これ誰が書いたんだっけ?と思ってしまった。良いんだけれど、不思議なほど心に残らない。「沖で待つ」はふつうにいい話で終わっとけばよかった気もするし。沖で待つ作者: 絲山秋子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/02/23メディ…

『空中庭園』角田光代

郊外のショッピングセンター、駅からバスに乗って着く団地、駅の改札、ラブホテル、車に乗ってごはんを食べに行くところ、チープな飾りつけのお誕生日会をやるリビング、住宅展示場、そのどん詰まり感漂う場所は、確かに見たことがある。どこかで。自分の記…

『この本が、世界に存在することに』角田光代

素晴らしかった。 それはともかくとして、最初に読んだときはよくわからなくても、何年か経ってもう一度読むとわかることがある、あるいは、年を経て読み方が変わることがある、というようなことが書いてあるけれども、僕はひたすら、手遅れだったらどうしよ…

『猛スピードで母は』長嶋有

文學界新人賞受賞作「サイドカーに犬」と芥川賞受賞作「猛スピードで母は」を収録。両方とも、子供視点で見た親が書かれていて、特に母ひとり子ひとりを描いた「猛スピードで母は」が大変良かった。母子家庭ものを淡々と書かれるともう降参するしかにゃいで…

『さあ、気ちがいになりなさい』フレドリック・ブラウン

キレが鋭い、というのは、オチのつけ方ではなくて、その語り方が。言葉が多すぎもせず、説明不足でもないぴったりのところに収まっていて、気持ちがいい。星新一の訳も良いですね。特にタイトルが。ベストはその「さあ、気ちがいになりなさい」かな。さあ、…

『誰かのことを強く思ってみたかった』角田光代・佐内正史

佐内正史の写真を見ていると、「体験していないことを思い出す」感じがする。あ、ここ見たことある、と思うのだけれど、それはいつも一度も行ったことのない場所の写真なのだ。角田光代の文章は、写真に近づきすぎない距離を保っているのに、ある瞬間ふっと…

『エコノミカル・パレス』角田光代

著者曰く「経済小説」で、ああ、これは経済小説だなあ、と思った。経営破綻、とか、インサイダー取引、とか、大方の人にとっては遠い世界のおはなしなわけで、それよりはずっと、お好み焼きにエビを使いたいがどちらのスーパーで買うのがお徳であろうか、と…

『古本道場』角田光代・岡崎武志

古本の人岡崎武志に角田光代が弟子入りして、与えられた課題に沿って古本屋をめぐっていく、おそろしい1冊。何がおそろしいかというと、これを読んでいると古本屋に行きたくなることで、読みながら心の中で、古本屋に行かなくても読む本は部屋の中にいっぱい…

『少女は踊る暗い腹の中踊る』岡崎隼人

うーむ。やっぱり、舞城と佐藤友哉と浦賀なわけで、それがあからさまにわかってしまうのってどうなんだろう。作中に小説のタイトルがいくつか出てくるんですが、それも「この作者はいかにもこういうもの読んでそう」としか思えない。あまりに底が浅い。意味…

『上手なミステリの書き方教えます』浦賀和宏

よし、これから浦賀のことをルサンチマン作家と呼ぼう。浦賀ってほんとに「殺すリスト」作ってそうだよねー。ものすごくおもしろいのですが、ほとんどの人はドン引きします、確実に。痛々しい青春を送り、その痛みを今現在もリアルに感じられ、なおかつある…

『幸福な食卓』瀬尾まいこ

途中までは、変わった家族を持つ女の子物語として、(僕は好きじゃないけど)の留保付きで読んでいたのですが、このまとめ方はちょっとナシだなあ。安易に過ぎるのではありませんか、と思いました。 しかしこういう話を素直に読めない僕、すっかりすれてしま…

『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ

おそろしく読者を緊張させる小説。着想自体は珍しいものではないが、主人公キャシーが行きつ戻りつして語っていくヘールシャムでの日々を追う読者は、丁寧に選られた文章の力で、まさに自分がそこにいる生徒であるかのように、ほんとうのことを知りたい、と…

『孔雀の羽の目が見てる』蜂飼耳

中原中也賞を受賞した詩人のエッセイ集。まず本のつくり自体が美しい。使われている言葉が穏やかかつ鋭い。言葉で何かを表現する、ということをよく考えている人だと思った。孔雀の羽の目がみてる作者: 蜂飼耳出版社/メーカー: 白水社発売日: 2004/08/01メデ…

『樹の花にて』菊地信義

装丁家菊地信義のエッセイ集。最近手にとった気になる装丁の本が両方とも菊地信義の手になるものだったので、ご本人の文章も、と思って読んでみました。職場のある銀座の話題を中心に、漢語を多く使う硬質な輝きの文章がじっくり味わえます。まあ、いささか…

『しあわせのねだん』角田光代

あ、おもしろい。角田光代が使ったお金について書いたエッセイ。37歳なのに、角田さんには大人感が漂っていなくて良い。あと、所持金適正額は「四捨五入した年齢×1000円」ってほんとうでしょうか?常に3万円も持ってる25歳がどこの世界にいるというのだ(ど…